今回はゲームを始めてからほぼ使い続けているFaiデッキの新バージョンコンボ・ファイにフォーカスです。デッキ元は2022年10月のBattle Hardenedダラス・フォートウォースで優勝したPeter Buddensiekのデッキです。
デッキ概要
フォーマット: クラシック構築
アーキタイプ:アグロ・コンボ
長所
- コンボが決まった時の爽快感
- 環境次第では優勝を狙えるヒーロー
短所
- プレイスタイルがアグロ限定
デッキ内容
戦略
基本的には2ターンかけてセットアップを行い、1ターンで30〜40の特大ダメージを狙うコンボ・アグロデッキです。
コンボターンの基本的な流れとしては以下の通りです。
- コンボカードの1枚をアーセナル設置。
- Art of Warを使用
- 3〜4連撃
- チェーンクローザーにSalt the WoundまたはLava Burstを使用。
- Snapdragon Scaler+でMask of the Pouncing Lynxで更にもう一チェーンLava BurstまたはSalt the Woundを追加
それぞれのコンボパーツを見ていきましょう。
2つ選択します。
- あなたのコントロールするアタックアクションカードは、このターンで+1攻撃と+1防御を獲得します。
- このターンでプレイする次の攻撃アクションカードは、Go Againを得ます。
- ターンの終わりまで、あなたはアーセナルのアタックアクションカードで防御することができます。
- アタックアクションカードを1枚手札から追放する。もしそうしたならば、2枚のカードを引く。
コンボターンのキーカードです。AoWのドローモードは、AoW自身と追放したカード分の2枚を保管するので手札カードのコスト自体はかかりません。各カードに+1の攻撃を加えることでチェーンリンク数分のアタック表現価値(EV)を得られるカードで、チェーンリンク3〜4、時には5以上も珍しくないコンボターンではわずか1コスト(平均1点分のダメージ価値)でその価値の3〜5倍という規格外の価値を発揮します。
Rupture – もしLava Burstがチェーンリンク4以上でプレイされたなら、それは+3{p}を得る。
Salt the Woundはこのコンバットチェーンでヒットした各アタックにつき+1{p}を得る。
Lava BurstとSalt the Woundはチェーンリンククロザーとして理想的なカードです。どちらも長いチェーンではそのカードEVを平均よりもはるかに上の数値に上げることができます。AoWの追加効果でLava BurstならカードEV6点、Salt the Woundも相手が一部ブロックしていても平均5〜6点のEVは得られるのではないでしょうか?
コンボターンでは装備も重要な役割を持っています。
Action – Blossom of Springを破壊する。1点のリソースを得る。
Go Again
AoWのコストをカードピッチではなく、Blossom of Springで支払うことでアタックターンEVを更に上げることができます。
通常なら、カードをピッチするので例えピッチにはレートのブルーピッチでも、3点ピッチ(1点はAoW)で残り2点で武器攻撃したとしても、武器はAoWのボーナスを得られないのでこの場合ピッチしたカードが直接生み出したEVは3点分となります。レッドカードがピッチされてらAoWを支払うだけで、1枚分のアッタクEVを丸々失うことになります。
もし、Blossom of Springを使用してレッドカードで攻撃できればレッドカードなら4〜5点攻撃となりBlossom of Springが生み出したターンEVは最低でも1点、多ければ5点分となります。
あなたがコントロールするアタックアクションカードがヒットした時、マスク・オブ・ザ・ポンシング・リンクスを破壊してもよい。その場合は、デッキから攻撃力2以下のアタックアクションカードを検索し、追放してからシャッフルする。あなたはこのターンでそれをプレイしてもよい。
Blossom of Springがコンボチェーン発動に貢献するなら、クローズにはMask of the Pouncing Lynxです。その効果は1度きりしか使えないマスクなのですが、攻撃力2点以下のカードを山札から引くことできます。そして、チェーンクローザーのLava BurstとSalt the Woundはどちらもその対象となります。
アーセナルカード
アーセナルに設置しておくカードは、コンボクローザーのLava BurstかSalt the Wound、コンボスターターのArt of Warまたはリソースカード補強ができるBelittleです。
ブロック戦略
ガチガチのアグロなので、基本ブロック戦略は「攻撃あるのみ」=ノーブロックです。
多くのカードがブロック使用だと2点分の表現価値しか生み出さないので、Below Rate(ビローレート)のカードになってしまいます。
例
具体的な1例を見てみましょう。
アーセナルにLava Burst。
手札は以下の通りとします。
ステップ1: Blossom Springを使用してリソースを1点得る。
ステップ2: Art of Warを+1点攻撃と1枚追放して2枚引くのモードを選択。追放したカードがRonin Renegadeで引いたカードがRonin Renegadeと2枚目のBrand with Cinderclawだったとします。
ステップ3: Go Againで繋げるように順番に攻撃。この時ファイのヒーロー能力も起動。
Brand with Cinderclaw: 3+1 = 4
Blaze Headlong: 4+1 = 5
Roning Renegade: 3+1 = 4
Brand with Cinderclaw: 3+1 = 4
Phoenix Flame: 1+1 = 2
ステップ4: アーセナルからLava Burstを使用。
Lava Burst: 5+1(art of warから)+1(Tigershukoから)=7
ステップ5: Snapdragon Scalerを使用して、Lava Burstにゴーアゲインを追加。
ステップ6: Mask of Momentumを使用して、Lava Burstをもう1枚手札に引いて最後の攻撃。
Lava Burst: 5+1
合計: 32点になりました。
Tips
AoW+Phoenix Flameシナジー
Art of Warのカードドローの追放対象にPhoenix Flameを使用することで、その効果は格段に上がります。AoWの効果+1と平均EVを合わせた4点分の攻撃が得られることになります。
このターン、次のあなたがコントロールするドラコニックまたは忍者アタックアクションカードは+3{p}を得る。
あなたは、Phoenix Flameを墓地から手札に戻しても良い。
Go Again
1枚、3点+Phoenix(多くの場合最低1点の価値)で平均的に1枚4点の効率の良いRise from the Ashesですが、AoWとの相性が非常良いと感じました。Rise from the Ashesで手札に戻したPhoenixをAoWの追放対象に使うことで実質フリーでカードを1枚引けたことなり、AoWのターンだと平均4点分のEVが追加されたことになります。
Flamecall Awakeningであなたがアタックする時、もしあなたがこのターン他のレッドカードをプレイしたならPhoenix Flameをデッキからサーチ、公開して、手札に加えても良い。そのあとデッキをシャッフルする。
Go Again
実際にファイマスターと称される2022年ワールドチャンピオンシップ3位のラトコフスキーのYoutubeで紹介されていたのが、AoWのコンボターンとFlamecall Awakeningの使用順番です。
通常なら先にAoWを使用すると、Flamecall Awakeningに+1、そしてFlamecall Awakeningの前に使用するレッドカードに+1を合わせて2点分のEVが追加されることになります。
これに対して、レッドカードとFlamecall AwakeningをAoWの前に使用すると、手札に戻った0点攻撃のPhoenix FlameをAoWの手札ドロー追放対象に選ぶことで、ベース0点攻撃が平均3点のレッドカードに変わり+3点得ることになり。よって、この方が合計で+1EV上がることになります。
この一見するとわずか1点のEVの差を一つずつ丁寧にプレイしていけることがプロプレイヤーなのだと実感できるシナジーでした。
サイドボード
Vs. Dromai(ドロマイ)
Dromai戦は基本的にFaiに分があります。大きな理由としては、相手が出したドラゴンは直接攻撃することができるのでオンヒット効果を確実に発動させることができる点を利用します。そこで、鍵となるのがMask of Momentumです。マスクのドローを毎ターン発動させていれば、圧倒的なカードアドバンテージを得ることができます。
Vs. Guardian
また、ガーディアンの性質上、攻撃をされながら長期戦を強いられるのでテンポを得る・維持するために防御力の底上げが必要です。そこでFlamescale Furnaceを装備し、Sink Belowをデッキに入れます。
また、ガーディアンのオンヒット付きの高さのある攻撃にはファイのテンポを大きく失わせるカードが複数ありまり2点ブロックのカードが多いファイにはブロックすらままなりません。例えば、Spinal CrushやChokeslam。そこで、これらのカードでテンポを奪われないEnlightened Strikeを入れることになります。
Vs. Iyslander
Tide flippersを使ってアーケンバリアー(AB)1で戦います。Lava BurstとSalt the WoundのチェーンフィニッシャーにGo Againを加えることもできます。また、長期戦になることを見越して、Fyendal’s Spring Tunicを使用します。
Rise from AshesをE Strikeに変えます。理由としては、Rise from Ashesの使用後にIyslanderの使用カードのコストを上げるカウンターを出されると何もできなくなってしまうので、この場合はコストとは関係なく山札に戻す一枚と合わせて2枚で完結しているE Strikeの方がいいそうです。
Energy Potionは、ブルーカードのカウントを増やすだけではなく相手がFrost Biteをなどで邪魔をしてくるターンはEnergy Potionを場に出してターンを終了することで以降のターンにリソースを持ち越すことができます。
Vs. Dorinthia
防御の底上げが必要になります。Sink Belowと更に、ブロックに使えるカードを増やすために、2枚で完結するE StrikeをRise From Ashesの代わりに投入する方がいいそうです。
デッキ評価
⚠︎全て個人的な意見です。今後プレイを重ねるうちに変更する可能性もあります。
面白さ: B+
コンボ系のデッキはコンボが決まった時の爽快感があるので楽しいですね。加えて、複数のGo Againでチェーンリンクが繋がっていくのでFAB特有のゲームプレイの楽しさを味わえます。
操作性: A
ファイは模範的なアグロデッキで、コンボターンを理解していればあとは基本的に、攻撃に集中していればいいので非常に使いやすいデッキです。よって初心者にも易しい、プレイ難易度低めのデッキです。
注意点はコンボを意識しすぎて装備やカードの使用タイミングを見間違えるところです。40点1ターンは確かに魅力的ですが、20点攻撃でもタイミングよくだせばテンポと主導権を得ることができ、そのまま逃げ切る試合も多々あります。
コスト: B+
このデッキを実際に物理カードで組むとなると、これを現在のレートだと$920という計算になっていました。しかし、これはサイドボードのMask of Momentum、Flamescale FurnaceとEnlightened Strikeで$300以上占めているのでメインデッキ自体は$600程度とトップコンストラクトデッキとしては比較的安くなっています。
競技性: B+/A-
現状ファイはヒーローとしては、トップTierに位置していて2022年ワールドチャンピオンシップでもトップ4に入っています。トップ4のデッキと少し違いますが、コンボ要素は残っているのでこのデッキも相性・メタ次第では十分に戦えるデッキだと思います。
柔軟性: D
現在のところFaiは完全にアグロ戦略に特化したデッキでなので、極端にプレイスタイルを変える柔軟性は兼ね備えていません。
情報元
今回のデッキの直接のネタもとです。
参照
2022年度ワールドチャンピオンシップ3位、USAナショナル準優勝・ファイマスターと呼ばれるDaniel Rutkowskiがワールドチャンピオンシップで使用したデッキの説明をしています。今回のデッキとは、いくつかの点でことなりより高額なカードを使用されています。
2022年ワールドチャンピオンシップ第5ラウンドのファイマスター対ブラボープレイヤーの一戦です。対ファイようにサイドボードを組んだブラボーはファイにはかなりきつい一戦と言われていましたが、接戦のすえ最後はファイマスターが勝利しました。
ダニエル・ラコフスキーがTalisherを使ってファイのプレイ方法を説明しています。
ラコフスキーがUSAナショナル(ワールドチャンピオシップの前)で使用したデッキの説明です。