Outsidersプレビューハイライト第3回は、武器メカニクスの拡張・進化の1例に注目です!
武器
FaBにおけるWeapon(武器)とは、ゲーム開始時から場に設置されるArena(アリーナ)カードの一種で、運の要素に作用されず、ヒーローをカスタマイズできる大きなゲーム構造の一つです。
ウォーリアークラスのように武器強化で戦うプレイスタイルや、消耗型アーキタイプのガーディアンヒーローが相手のスタミナを奪うまで間の攻撃方法として使用したりとデッキのプレイスタイルの中核を担うこともあるほど重要です。
Staff | 杖 |
Hammer | ハンマー |
Bow | 弓 |
Club | 棍棒 |
Sword | 刀剣・長剣・ソード |
Scrythe | 大鎌 |
Gun | 銃 |
Dagger | ダガー・短剣 |
Axe | 斧 |
Flail | 連節棍 |
Lute | リュート |
Orb | オーブ |
Scepter | 王笏 |
Claw | 爪 |
Rock | 石 |
Pistol | 拳銃 |
また、ゲームのテーマに沿って、魔導士クラスには杖、忍者やウォーリアークラスには刀や長剣もあればそれとは別に小太刀や短剣のようにダガーまで、ヒーローやクラスに引けを取らないほど様々な種類が存在しています。中には弓や銃・拳銃のように武器の種類と実際のプレイ体験がピッタリハマっているものも存在します。そして、このこだわりこそがFaBを没入型体験TCGと筆者がこっそり思っている所以です。
しかし、現状では全ての武器が特有のプレイ体験をもたらしているわけではありません。中には、ゲームメカニクス的には差があまりないと思えてしまう武器種もあります。その一つの例がダガーと長剣です。もちろん、既に長剣のみを対象とするカードなども存在しているのですが+1{a}をソードに与えるをダガーに与えるに変えても、没入型体験にはつながりません。
どちらも剣種なのですが、せっかく2種類に分けてくれているのだからそれをプレイに反映して欲しいところ。この願望がアウトサイダーズで叶います。アウトサイダーズでは、ダガー武器タイプが進化します。
ダガー
ダガー武器種自体はセット1から既にHarmonized Kodachiとして存在しているので、ダガー武器の進化は別のダガー武器の登場だけではなく、それ以上に武器の種類をもとにしたシナジー効果の登場を意味しています。
クナイ攻撃!
各ターン1回限定アタックリアクション – 0: あなたがコントロールする、アクティブチェーンリンクではない対象のダガーは対象のヒーローに1ダメージを与える。こうしてダメージが与えられた時、そのダーガーはヒットしたこととする。ダガーを破壊する。
Blade Break
アウトサイダーズのレジェンダリーカードFlick Knivesの効果はダガーを長剣種と見事に分けたメカニクスではないでしょうか?イメージ的には、別の攻撃中に手元からダガーを投げて攻撃。
Hurlをプレイする追加コストとして、{r}を支払ってもよい。もしそうしたならば、これは”これがアタックする時、対象のあなたのコントロールするダガーは対象のヒーローに1点のダメージを与える。もしこの方法でダメージが与えられたなら、ダガーはヒットしたとする。ダガーを破壊する。”
Hurlは、単語の意味からこれ自体が何かを投げている攻撃ですが、そこにオプションとして装備のダガーも加えて投げもつけるというイメージですね。
これらの方法で投げたダガーは、ダメージを与えられればダガーの持つオンヒット効果も発動させることができます。
アサシンクラスのダガーはアウトサイダーズで3種追加されて、合計4本。それぞれがオンヒット効果を持ったサイクル装備になっています。ダイナスティーセットからのSpider’s Biteがデフェンスカードの対象がアタックアクション、Nerve Scalpelではリアクションカード、Scale Peelerでは装備、そしてOrboclastではノンアタックアクションとなっています。
各ターン1回限定アクション – {r}{r}: アタック. Go again
Piercing(貫通) 1
これがヒーローにヒットした時、このターンそのヒーローが次に1枚以上のリアクションカードでデフェンスする時 、デフェンス中はそれらのカードは-1{d}と持つ。
ダガーを投げるということは、その武器を失うことを意味するので、慎重に行いたいことろです。ただ、タイミングよく使えば-2以上のブロックを減らすことで実質ダガーのEVを2~3倍以上に引き上げるできます。
オンヒット効果がないので、効率的にはグッと下がりますがFlick KnivesもHurlも既存の忍者ダガーにも使用できます。これまで使い慣れたデッキが、新セットで進化し続けるというのは本当にFaBの魅力ですね。
インベントリー
投げてなくなってしまったダガー武器。なんと、山札デッキの外から別のダガーを装備することも可能になるのです!
対象のアサシンまたは忍者アタックアクションカードは+1{a}と”これがヒットした時、インベントリーからダガーを1本装備する。”
1.1.3b A player’s inventory is a collection of equipment and weapon cards in the player’s deck.
プレイヤーのインベントリーとはプレイヤーのデッキ内の装備と武器のコレクション
1.1.3. A player’s deck is a collection of non-hero cards
プレイヤーのデッキはヒーロー以外のカードのコレクション
Flesh and Blood Comprehensive Rule 2.3.4
実は、インベントリー=在庫はアウトサイダーズセットを待たずとも既に公式ルールブックでも定義されていました。簡単にいうと、ゲーム開始時に装備しなかった武器と装備を指しています。
余談ですが、個人的に最初この説明を読んで、筆者が困惑したのがデッキ=山札と解釈して山札には装備や武器入れられないのでは?という点でした。
この疑問はルールブックの別のセクションを読むことで解消されました。
4.1.5. Fourth, each player selects the deck-cards from their deck that will become their starting deck.
各プレイヤーはデッキカードをそれぞれのデッキから選択し、それがそれぞれのスタートデッキとなる。
Flesh and Blood Comprehensive Rule 2.3.4
つまり、山札=スタートデッキ・デッキカードというのが正式用語で、デッキはサイドボード用のカードも含めたヒーローカード以外全てをFaBでは指していると言うことですね。デッキと言う単語が多すぎてわかりにくい…
さて、カードに戻りますがインベントリーの定義は以前からあったもののFaBがこれを使用するのは今回が初です。同じことしか言えないのですが、毎回FaBのゲームデザインが自分の中での没入型体験とピッタリマッチしてくれるのが嬉しいです。イメージとしては投げてしまった小太刀の代わりに脇差のゼファーニードルを取り出すという感覚です。
ダガーシナジー
ダガー武器種は投げられようになり、投げたダガーの代わりを隠し持っていた脇差から出すことができるようになりました。しかし、ダガー武器種の拡張はこれに留まらず、LSSは今回ダガーを意図的シナジー(Intentional Synergy)の対象としています。
アウトサイダーズで登場する他のダガーシナジーカードをサラッと見てみましょう。
これがヒーローにヒットしたなら、そのヒーローはX{h}を失う。Xは、このコンバットチェーンでダガーがヒットした回数とする。
Salt the Woundのダガー攻撃限定版みたいなカードですね。
両手のダガーがヒットしてX=2。さらに、もし1回投げたとしたらX=3。ただ、殆どの場合は、X=1が平均なのではないかと思います。
しかし、これもStab Woundがヒットした場合で、これ自体はベース攻撃が2点なの簡単にブロックされそうです。
ただ、このカードはブルーピッチ、3点ブロックとしてデッキに含まれるのが主目的だと思われるので、そういう観点で見ると、ブルーカード・0コストで平均EV3と考えると意外と使えるのかも?
Bleed OutのプレイはXリソース分低くなる。Xはあなたがこのコンバットチェーンでダガーで与えたダメージの合計。
Go Again
ダガーダメージを2点与えられれば、レート超過のカードとなります。Katsuの小太刀2連撃だと大抵の場合は1回は通るので、1コスト4点だと平均レートの使用になりますね。
あなたのダガーはこのターン中+1{a}を得る。
ダガー連撃のターンEVをKnives Outでどこまで伸ばせるか興味深いです。もし、ダガーアーキタイプがまともに戦えるとしたら、鍵となるカードな気がします。
さらに、既に紹介したレジェンダリー装備以外にもダガー攻撃をトリガーとした装備が登場します。
Attack Reaction – Mask of Shifting Perspectivesを破壊する:このターンダガーがヒットした時、あなたはカードを1枚あなたの手札からデッキの一番下に戻してもよい。そうしたならば、カードを1枚引く。
Blade Break
Action – {r}{r}, Blade Cuffを破壊する: あなたのダガーは+1{a}をこのターン得る。Go Again
Blade Break
他には、ダガーを対象に攻撃力をアップさせるアタックリアクションも追加されます。
1つ選ぶ;
- 対象のダガーアタックは+3{a}を得る。
- 対象の2以下のベース{a}アタックアクションカードは+3{a}を得る。
感想
間違いなく複数のプレイヤーが一度はダガーアーキタイプデッキを作ることになるでしょうが、それが競技レベルで使用できるかと言われると、99%種族・属性デッキなどのファンデッキとなるでしょうが、今回筆者が興味を惹かれたのはFaBの特徴である武器種の1つがゲームデザインスペースの対象になり進化したという点です。今後、他の武器種もそれぞれ独自の進化していくのをみていくのが楽しみです。