FaB史上最弱のヒーローという印象があったAzalea(アザリア)ですが、先日行われた非公式・優勝賞金米国ドル5000ドルのアメリカ・イリノイ州シカゴで行われた大会で、なんとワンツーフィニッシュを決めたのがアザリアでした。しかも、非公式といえ世界王者・マイケルハミルトンも参戦したガチのトップ競技レベル大会でした。
この大会中ハミルトンの2敗は、どちらも今大会優勝者・現在XPで世界ランクで1位のブローディー・スパーロックとの試合によるもの。アウトサイダーズセット発売まもなく行われた最初の大型大会なので、今後メタは変わっていくと思われますが、アザリアがその登場から始めてトップクラスのデッキの一角になる可能性を証明しました。そこで、今回は、今後メタ環境の中心になる可能性が高い・現在最注目のアザリアデッキにフォーカスです。
デッキ概要
アーキタイプ: アグロ・コントロール(テンポ)
フォーマット: クラシック構築
長所
- 優勝を狙える可能性のあるデッキ
- オンヒット効果のアローを調整することで、メタ環境に対応できる可能性
- 基本プレイが比較的簡単
短所
- 手札事故の確率が他のデッキより高い?
- プレイパターンが単調に感じることも?
デッキ内容
優勝デッキ:Brodie Spurlockバージョン
準優勝デッキ:Levi Rauchバージョン
二人のデッキのメインボード構成は同じで、サイドボード(インベントリー)に差があります。しかし、これはスパーロックがアザリアマスターと呼ばれるリーバイ・ラウシュのデッキを基本的に大会直前にコピーして元々予定していたアイスランダーから変えたからとのこと。
余談ですが、優勝はスパーロックでしたが決勝戦ラウシュは準決勝のプレイから、決勝でIP2ペナルティを受けて最初の2ターンの-1インテレクトでプレイしました。結果的には負けたのですが、最後は運によっては勝利できたという僅差まで持ち込めたところを見ると、ハミルトンを2度も破ったスパーロックも凄いのですが、アザリアに関してはラウシュがやはりマスターと呼ばれる実力を秘めていると思われます。
ちなみにスパーロックは、マイケルハミルトンと同じチーム・ウルフパックでお互い練習仲間。大会直前までは、スパーロックもハミルトンと同様にアイスランダーをプレイする予定だったとのこと。大会直前に、そこまで慣れていないヒーローに乗り換えて優勝。スパーロックもやっぱり凄い!
戦略
基本戦略
ターンサイクルの基本的な流れは、アロー強化やアロー攻撃の前に使用できるGo Again付きの攻撃カードと組み合わせて自分のターンに効率の良い攻撃を提示。
多くの場合はオンヒット効果が付加されているため、相手に防御を半強制的に強いて、ゲームのテンポを得るアグロ・コントロールアーキタイプです。更にアザリアのヒーロー能力は、FaBゲームでは特に希少なEvasion(回避不可)攻撃の一つDominate(支配)を付加できるので強制オンヒット発動、トドメの一撃も戦略的に備えています。
ファイブカード
アザリアの魅力を1点挙げるとしたら、実質毎ターン5枚手札ということではないでしょうか?
各ターン1回限定アクション – 0: あなたのアーセナルからあなたのデッキの一番下にカードを戻す。もし、そうしたならばデッキの一番上のカードを表向きにしてあなたのアーセナルに設置する。
もし、それがアローなら、それはDominate(支配)をこのターンの終了時まで得る。Go Again
各ターン1回限定アクション – {r}: もしあなたのアーセナルにカードが設置されていなければ、あなたは手札からアローカードを表向きであなたのアーセナルに設置しても良い。もし、そうしたならばカードを1枚引く。 Go Again
Death Dealerとアザリアのヒーロー能力の組み合わせで、ほぼ毎ターンデッキの一番上のカードも手札として扱える状況になっています。中でも特に、Death Dealerの表現価値を見ると、1コストで、1カードドロー=3点EVと平均レートの3倍の価値を秘めています。
例えば、4枚手札でアーセナルが空の状況とすると、Death Dealer起動・ピッチで1枚、アローカードを設置。手札にデッキから1枚のカードが加わりこのターン5枚のカードが手札に回ってきて使用できることになります。
もし、前のターンからアーセナルが埋まっていたとすると、5枚手札のターン開始となりますが、そこにアゼリアの能力を加えることでアーセナルカードを入れ替えることができます。この場合は、実際に使用可能なカードは5枚のままですが、山札の上を手札の1枚として入れ替えらると利点があり、6枚手札から5枚選ぶというような感覚となります。
高効率攻撃
世界王者マイケル・ハミルトンが世に知らしめたBulllanderの最大の特徴といえば、表現価値重視のデッキ構築と戦略でした。その代表的な例が、2枚でレート超過の8点攻撃を安定して提示する、Wounded Bullなどによる攻撃です。
しかし、アザリアの攻撃はそれと同等・時にはそれを上回るレート超過攻撃を出せることが多々あります。特に最新セット・Outsidersでは超レート超過カードが複数追加されました。
基本的な攻撃方法としては、手札2枚で迎えた自分のターン、アーセナルは空です。ブルーピッチ(またはイエローピッチ)でDeath Dealerを発動。Red in the Ledgerなどのアローカードをアーセナルに設置。
このターン、あなたの次のアローアタックは+3{a}を得る。
Opt 1
Go Again
Death Dealerで、引いたアロー強化カード・Read the Glide Pathなどをプレイ。強化したRed in the Ledgerで攻撃。オンヒット効果がないとしても手札2枚からオンレートの7点の攻撃をこのターン提示したことになります。
これがアタックする時、あなたのデッキの一番上のカードを公開する。これは-X{a}を得る。Xは公開したカードのピッチ数値とする。
Go again
もし、引いたカードがRavenous Rabbleでこれが4点攻撃だった場合、8点攻撃提示のターンとなりBulllanderのWounded Bullの最大EV8点に匹敵します。
Bolt’n’ Shotの{a}が基底の{a}より高い間、これはgo againと”もしヒットしたなら、reload”を得る。
手札に残ったのがBolt’n’ Shot 1枚だけで、チューニックカウンターが溜まっていたとします。チューニックカウンターで1リソース生成。Death DealerでBolt’n’ Shotをアーセナル設置。手札に引いたカードをがRead the Glide Pathなどのように+3攻撃カードすると、なんと手札1枚から7点攻撃という超レート超過攻撃も可能になります。
アローカード
攻撃ターンの基本となるのはアローカードですが、これは基本的に各ターン1度しか使用できないため特に優秀なアローカードを選び、手札に複数のアローカードを引いて手札が使いきれない「手札事故」でテンポ失う確率減らすために、ラウシュは経験からデッキの約4割をアローにすると公言しています。
メインデッキに含まれるアローはBolt’n’ Shot各色・9枚、Drill Shot、Infecting Shot、Red in the Ledger、Remoseless、Spire Snipingブルーの合計27枚。ただし、Bolt ‘n’ブルーとSpire Snipingはピッチ・ブロック使用が基本のため、攻撃専門アローは21枚。サイドボードからBattering Boltを加えれば60枚デッキ4割ぴったりの24枚となります。
もしInfecting ShotにAimカウンターが置かれているなら、これは+1{a}を持つ。
これがヒーローにヒットした時、Bloodrot Poxトークンを1つそのヒーローのコントロール下で創造する。
アザリアの競技性がグッと上がったのは最新セットで追加されたカード達のおかげです。中でも、Infecting Shotは、オンヒットが発動すれば1コスト7点ダメージの可能性を持っています。これはかなりのレート超過です。
エクステンダーカード
このデッキの基本的な攻撃パターンは、上でも書いた2枚カードによる・アローカード1枚とアローを強化またはアローの前に使用するGo Again付きの攻撃カードとの組み合わせとなります。
ラウシュはこれらのターン攻撃強化のGo Again付きカードをターンエクステンダー(拡張)カードと呼んでいます。
そして、このデッキではアローカードが各ターン1枚使用限定のため、エクステンダーの存在が重要になります。よって、ラウシュはデッキの7~8割をエクステンダーとして使用可能なカードと経験から導き出しているそうです。
ターン拡張カードとしてメインデッキに含まれているカードは以下の7種・合計21枚です。
- Lace with Bloodroot
- Premeditate
- Ravenous Rabble
- Read the Glide Path
- Seek and Destroy
- Dead Eye
- Rain Razors
このターン、次にアタックアクションカードがヒーローにヒットする時、Ponderトークンを創造する。
あなたがアーセナルからプレイする次のアタックアクションカードは+3{a}を得る。
Go Again
中でも最新セットのOutsidersで登場したジェネリックカードのPremedidateはカード1枚で3点攻撃追加だけでも平均レートですが、そこにオンヒットPonderトークン創造で平均3点分の表現価値が加わると1枚で6点分のEVを持つモンスターカードとなります。
このターン中あなたの次のアローアタックは+3{a}と”これがヒーローにヒットした時、Bloodrot Poxトークンをそのヒーローのコントロール下で創造する”を得る。
Go Again
同様にOutsidersで登場したレンジャーズカードのLace with Bloodrotオンヒット効果が発動すれば1枚で5点のEVを持つレート超過カードとなります。
オンヒット妨害
アゼリア専門
もしRed in the Ledgerがヒーローにヒットしたならば、ヒーローは次のターン1アクションしかプレイまたは発動できない。
上の例では既に2枚で7点という数値のみでもレート平均攻撃のRed in the Ledgerでしたが、鍵となるのはオンヒット効果です。オンヒットによる妨害を加えることで相手に半強制的に防御を強いることができます。
回避不可能攻撃
各ターン1回限定アクション – 0: あなたのアーセナルからあなたのデッキの一番下にカードを戻す。もし、そうしたならばデッキの一番上のカードを表向きにしてあなたのアーセナルに設置する。
もし、それがアローなら、それはDominate(支配)をこのターンの終了時まで得る。Go Again
アザリアのヒーロー能力により付加できるDominateは、FaBにおけるEvasion Attack(回避不可能攻撃)の代表的なキーワードです。個人的な意見ですが、競技レベルで使用可能なテンポデッキの重要な要素は、「トドメの一撃」戦略です。
テンポを維持して互いのライフを減らしても、最後の一撃を加える方法がなければ相手に逆転勝利される可能性が出てしまいます。アザリアはDominateによりこれを行うことができます。手札によってはワンターンで10数点攻撃が可能となり、これにDominateを加えれば相手は最大で3~4点、そして場に残っている装備ブロック合計値となりその差が一撃射程圏内・ライフクロックとなります。
ちなみにアイスランダーのテンポデッキの場合は、相手のターン中に行える攻撃でした。
山札覗きカード
アザリアの能力は運任せで使用するのではなく、戦略的に常に山札の上のカードを分かった上で使用することがアザリアプレイヤーが最初に身につけるスキルの一つと考えます。これをサポートする装備やカードがデッキには複数含まれています。
各ターン1回限定アクション – あなたのアーセナルにある裏向きのカードを表向きにする: Opt 1. Go again
Arcane Barrier 1
Blade Break
ターン終了時に設置した裏向きアーセナルカードがあれば、それとSkullbone Crosswrapの能力を使ってデッキの一番上のカードを見ることができます。
Ravenous RabbleもRead the Glide Pathもエクステンダーカードでありながら、山札の上をみることができます。Nock the Deathwhisleはチューター能力とアーセナルカード設置を兼ね備えた3点ブロックカードです。
Spire Snipingはブルーピッチでありながらも、アーセナルに設置することで山札の上をのぞいて2枚を好きな順に入れ替えることができます。
ブロック戦略
効率的な攻撃と、オンヒット効果による妨害の脅威で相手の手札を削るので、こちらは基本的に攻撃中心となります。ブロック用のカードまたは、手札に複数のアローカードが同時に来てしまって自分のターンで使いきれない場合はそれらをブロックに回すことになります。それ以外は、基本的に攻撃中心です。
アーセナル戦略
レンジャークラスは自分のターン開始時にたとえ、アーセナルが空の状態からでもアーセナル設置から攻撃に使用できるので、アーセナルは毎ターン入れ分かり続けるのが基本です。
よってあえてターン越しを見据えてアーセナルに設置する、アーセナル向けのカードがあるとするとシナジー効果を持つカードとなります。そして、予想通りラウシュが勧めるのは2枚シナジーの片翼のどちらかであるRain RazersかBoltyn Shotとのこと。
Rain Razors + Bolt’n’ Shotシナジー
Bolt’n Shotの{a}が基底の{a}より高い間、これはgo againと”もしヒットしたなら、reload”を得る。
このターンアタック中、アローは+2{a}を得る。
Bolt’n’ ShotとRain Razorsの組み合わせによりアローアタックの連撃、そしてRain Razorから1枚での4点攻撃の可能性が生まれます。
例えば、Bolt’n’ Shotが前のターンから既にアーセナルに設置された状態と仮定して、Bolt’n’ Shotで攻撃。Rain Razorsをインスタント使用。続けてRed in Ragersなど別のアローを使用。3枚手札相当で13点EVとレート超過の攻撃が可能になります。ここに他のアロー強化カードも加われば5枚手札全て使用で19点の攻撃ターンなども可能です。
先攻後攻
以下のリストがラウシュが推奨する対戦相手別先手と後手表です。
先攻
- Arakni
- Boltyn
- Dromai
- Kano
- Lexi
- Oldhim
- Rhinar
後攻
- Azalea
- Bravo
- Briar
- Dash
- Dorinthia
- Fai
- Iyslander
- Katsu
- Levia
- Viserai
インベントリープラン
最新のトーナメントルールで、サイドボードがインベントリーと呼ばれるようになったので、当サイトでもこの単語を使用します。優勝と準優勝のデッキの差は、インベントリーカードにあります。
ブローディースパーロック版
- Battering Bolt x 3
- Lace with Inertia x 3
- Perch Grapplers x 1
- Fatigue Shot x 2
- Widowmaker x 3
- Tarpit Trap x 3
- Infecting Shot (Blue) x 2
リーバイ・ラウシュ版
- Batter Bolt x 3
- Lace with Inertia x 3
- Perch Grapplers x 1
- Command and Conquer x 1
- Endless Arrow x 1
- Release the Tension x 3
- Sink Below x 3
- Boulder Trap x 2
優勝者のスパーロックはつい先日アーセナルパスでデッキテック動画を公開しました。そこでも公言していますが、彼のデッキのベースはリーバイ・ラウシュのものなので、個人的にラウシュのインベントリーを中心に考察しています。ただし、現時点ではラウシュは、最新デッキのインベントリープランについては発言していません。そこで、アウトサイダーズ発売前の今年初めにメタを想定して作られたデッキプランをもとに個人的に当てはめてみました。
Vs. アザリア
追加
- Lace with Inertia x 3
- Perch Grapplers x 1
- Command and Conquer x 1
- Endless Arrow x 1
- Release the Tension x 3
- Sink Below x 3
- Boulder Trap x 2
削除
- Snapdragon Scaler
ミラーマッチでは、オンヒット攻撃の効果に影響を受けるのでオンヒットを避けるブロックも重要になると思われます。
Vs. 消耗型デッキ
Oldhim、Bravo、 Dorinthia、 Arakni
追加
- Battering Bolt x 3
- Lace with Inertia x 3
- Perch Grapplers x 1
- Command and Conquer x 1
- Endless Arrow x 1
- Release the Tension x 3
- Sink Below x 3
- Boulder Trap x 2
削除
- Snapdragon Scaler
アザリアは武器自体が攻撃力を持たないので、攻撃の都度カードを消費していきます。このため、消耗戦に弱く特に消耗型Oldhimは天敵の一角です。
そこで、デッキ切れにならないようにインベントリーのカードは全てデッキに入れます。基本戦略としては、Dominateを使った攻撃を中心とすることで相手がブロックしきれないダメージを与えて、相手のライフを削っていくというものです。
Vs. Dromai
追加
- Battering Bolt x 3
- Command and Conquer x 1
削除
消耗型Oldhimと並ぶ、もう一つの天敵がDromaiです。ドロマイのドラゴンを攻撃しても、アザリアのオンヒット効果は発動しないためドラゴン処理と相手ヒーローへの脅威提示が同時にできないことが問題だそうです。
基本戦略は、相手がドラゴンを複数設置して場を制圧する前に試合を終わらせたいというところではないでしょうか?ビートダウン役で攻めていくと思われます。
Battering BoltとCommand and Conquerは、ドラゴン・ファンタズムのポッパーとして入れます。
Vs. Dash
追加
- Release the Tension x 3
- Boulder Trap x 2
削除
対Dash経験に乏しい筆者なので、あまり自身ありませんがダッシュはその都度使用可能なリソースに適応するヒーローで、こちらに対する妨害もないのでこちらはビートダウン役で攻めることになると思います。よって火力を上げることを考えたとき、Release the Tensionをエクステンダーとして、Boulder TrapはDashの攻撃に頻繁に発動できると思うので入れると思われます。
Vs. Fai
追加
- Perch Grapplers
- Sink Below x 3
- Lace with Inertia x 3
削除
- Snapdragon Scalers
対Fai戦は基本的にFai側がブロックしてくれば、こちらの方が平均ターン火力は大きくなると思います。逆に、ノーブロックで撃ち合いになると仮定した場合はArt of Warのコンボターンの対処が鍵になると思われます。そこでアーセナル妨害のLace with Inertiaをデッキに入れることはプラスと予想します。
Vs. Iyslander
追加
- Lace with Inertia x 3
- Release the Tension x 3
削除
スパーロック版だと、Infecting Shot(青) x 2をFrostbite対策として入れるようですが、ラウシュ版のインベントリにはブルーピッチがありません。鍵となるのはアーセナル妨害のLace with Inertiaではないかと思います。
スパーロックコメント
Tarpit Trap, Widowmaker
スパーロックのインベントリーに含まれる、Tarpit TrapとWidowmakerはテスト段階で、定着してはいないとのこと。Tarpit TrapはLexiなどGo Againとオンヒット効果両方を持つヒーロー相手に効果を発揮する可能性があると予測しているそうです。Widowmakerに至っては、今回の大会でデッキに一度も入れていないとのことです。
コツ
レンジャー初心者・カジュアルプレイヤー筆者が感じた個人的なプレイのコツです。今後プレイを重ねていく中で追加・変更していく予定です。
「攻撃ターン表現価値第1!」
ラウシュはアザリアデッキの攻撃は基本的に4パターンで、ターン表現価値を最大にする、ダメージかオンヒットを強制的に与える、またはオンヒット効果を最大限にするです。この中で、基本的に最も有効なのは攻撃ターンの表現価値を最大限にすることだそうです。これはハミルトン式・攻撃ターンEVを最大するということと同意となります。
例としては、アザリア初心者プレイヤーが最強のアローカードと誤認識しやすいRed in the LedgerによるDominate攻撃を狙うよりも(オンヒット強制優先)、もし他のアローを使ってより高い総合攻撃ターンEVを提示できると場合、後者の選択肢の方が基本的には正解ということです。
「Red in the Ledgerの価値を見誤るな!」
アゼリア専門
もしRed in the Ledgerがヒーローにヒットしたならば、ヒーローは次のターン1アクションしかプレイまたは発動できない。
相手に1アクションしか許さないオンヒット効果は、確かに強力ですがラウシュによれば、その価値を過大評価し過ぎてはいけないとのことです。
例えば連撃を得意とするFaiにとっては、相手の次のターンを完全にシャットアウトするオンヒット効果に見えますが、もし相手の手札がEnlighted Strikeを含んでいたらどうでしょうか?
相手は1枚で2〜3点ブロック。1枚はアーセナルに設置。残り2枚でEnlightened Strikeで7点攻撃モード。この場合、相手はアーセナルを使用することでカードを、1枚その次のターンに温存することでゲーム全体のテンポとしては影響がないことになります。
しかし、もし状況が違い相手のアーセナルが埋まっていたらどうでしょうか?相手は3枚を手札に残しても使い切ることができなくなり1枚手札にカードが残ってしまい、平均3点分のEVを失うことになります。
よってRed in the Ledgerを無条件でアザリア最強カードと見間違わないように。ちなみに、アウトサイダーズ発売前の時点でラウシュはデッキの最強カードはBolt’n’ Shotと公言しています。
「Death Dealerを使いまろう!」
各ターン1回限定アクション – {r}: もしあなたのアーセナルにカードが設置されていなければ、あなたは手札からアローカードを表向きであなたのアーセナルに設置しても良い。もし、そうしたならばカードを1枚引く。 Go Again
1コスト・ワンカードはレート超過なので、スパーロックによれば可能なら毎ターンこの武器を使えるように行動を意識すると良いとのことです。
具体的には、Go Againを持たないカードをターン終了時にアーセナルに設置しないこと。もしアーセナルにGo Againなしのカードを設置した状態だと、アザリアの能力でカードをGo Again付きカードに入れ替えたりしなければ、Death Dealerを使用できないからです。
「活かせCodex of Frailty」
各ヒーローはそれぞれの墓地からアタックアクションカードを裏返しでそれぞれのアーセナルに設置する。そうしたヒーローは、1枚カードを捨てる。
Ponderトークンをあなたのコントロール下で設置、Frailtyトークンを各相手ヒーローのコントロール下で設置する。
Go again
アウトサイダーズセットで登場したカードの中でも最強の噂が高い、Codex of Frailtyの持つ可能性は1枚7〜9+点のEVです。
効果 | 表現価値 | 条件 |
---|---|---|
自分のアーセナルにカード設置 | +3 | 手札なし(捨てるカードがない) |
相手の手札捨て | +3 | 相手のアーセナルが空 |
Ponderトークン作戦 | +3 | ターン終了時アーセナルが空 |
Frailtyトークン | +1 | 相手アーセナルにアタックアクション・武器中心攻撃型ヒーロー |
全ての条件を満たすことは滅多にありませんが、自分と相手のアーセナル状況を見て使用することで平均EV6点の価値は簡単に得られます。Ponderトークン創造でCodexカードを交換、残りはボーナスと考えることができます。つまり、1枚で2枚カード分の表現価値を平均的に出せるというモンスターカードです。
最悪、上の3つのどれか一つのEVのみを得たとしても平均レート。絶妙のタイミングで使用できれば、相手の次のターンの戦術を強引に変更・妨害することができ、3枚分の表現価値を1枚で出すことも。
スパーロックによればCodexはとても強力なので手札に引いたら、Codexを最も効率的に使用できる方法を第1に考えるべきとのこと。たとえば、手札にアローがあるならブロックに使用。エクステンダーを使用して手札を空にした時点でCodexを使用。これで、相手のアーセナル状態に関係なく6点分表現価値を得たことになります。
「Dominateを過大評価しない」
DominateはFaBにおける数少ないEvasion Attack(回避不可能攻撃)ですが、ラウシュが公言したようにアザリアの能力はDominateがつかなくても使用する価値があり、ラウシュは半分ぐらいがそれに当てはまるとのこと。
デッキ評価
⚠︎全て個人的な意見です。今後プレイを重ねるうちに変更する可能性もあります。
面白さ: B+
Faiが数で攻めるデッキに対して、このデッキは高さのある・1枚高火力の攻撃型戦略にオンヒットを使った妨害が噛み合っていて、同じテンポアーキタイプでもBulllanderとは違うプレイ感覚が味わえます。
レンジャー初心者・CCに至っては初挑戦の筆者にとっては、弓を引いて矢を放つ感覚が上手くゲーム構造に表されいるアーセナル使用が非常に面白く感じました。特に、アーセナルに置かれるカードが表か裏かで違った意味を持つところがさらに一段ゲームの奥深さを高めていると感じ取れました。
操作性: A-
レンジャー特有のアーセナル使用は、これまでレンジャーを使ったことのない筆者にとっては新しいものですが感覚的に分かりやすく基本は結構すぐに馴染めた気がします。
コスト: B-
スパーロック版なら$930、ラウシュ版だと$1020。トップレベルCCデッキとして妥当な値段です。
どちらも値段が高額なカードはやはり装備で、Tunicは$240。Skullbone Strapは$100。2枚でデッキの約1/3の予算となります。
Budget Friendlyアイデア
予算に優しいバージョンを簡易的に作成するとすると、TunicをBlossom of Springに、Skullbone StrapはTalismanic Lensに変えます。TunicとSkullbone Strapを比較したい場合、使用率はSkullbone Strapの方が多いので先にどちらかを購入すならSkullbone Strapがお勧めです。ただし、Tunicは他のデッキでも使用できます。
Command and Conquerは使用が限定的なので抜いても大丈夫だと思われます。PremeditateとCodex of Frailtyはマジェスティックとしては高額なのですが今回のデッキの競技性がいきなり上がったのはこれらのカードの登場が鍵だと思われるので3枚積みで欲しいところです。
スパーロックは今大会においては、あまり活躍しなかったと公言したのがEnlightened Strikeです。予算をさらに削るなら個人的にはPremediateとCodex of FrailtyよりEnlighted Strikeの方を削ります。ただし、Enlighted Strikeは他のデッキでも使用できるという利点がありますが。
競技性: A?
アウトサイダーズが発売して間もない、非公式の大会だったのでメタがまた安定していなく今後どうなるかは分かりませんが、現状はトップレベルで戦える可能性を十分に証明したと思います。
リーバイ・ラウシュによればアザリアの天敵は、消耗型オールドハイムと、ドラゴン対処方がないという理由からドロマイとのこと。この二人のヒーローがメタ環境中心にならなければ、アザリアがメタの中心になる可能性も?
柔軟性: B
オンヒットによる妨害を使用したデッキのため、メタ環境のヒーローに合わせたアローが選択できます。ただし、リーバイ・ラウシュが公言しているように現状ドラゴン対策や消耗型オールドハイムとの相性の悪さが強すぎるため柔軟性の限界があるようです。
感想
世界王者デッキと同様のテンポデッキですが、プレイしてみた感想はこちらはアグロよりのテンポ、Bulllanderは妨害よりのテンポという同じ系統のデッキでも違ったプレイ感覚が得られました。基本プレイはアイスランダーと比較すると分かりやすく感じました。
個人的に特に興味深いと思ったのが、第2セットで登場したヒーローなのにも関わらずCCでは公式大会の優勝歴が一度もなくリビングレジェンドポイント0というまさに最弱のヒーローだったのが、発売から三年を経ていきなりトップレベルのデッキになる可能性が生まれたということです。これは熱心なアザリアファンにはたまらないのではないでしょうか?
情報元
大会トップ8のデッキのリンクがあります。
優勝者・ブローディー・スパーロックによるデッキテックです。
参考
リーバイ・ラウシュ氏本人によるアゼリア初心者ガイドです。動画はアウトサイダーズが発売される前に作成されているのでデッキ内容自体は違いますが、今回の記事ネタ元です。アゼリアプレイヤーは絶対必見です。
シカゴ大会トップ8の動画です。スパーロックは準々決勝から決勝まで3戦全て、リーバイは準決勝と決勝の2戦。トップレベルでのアザリア戦が複数見れます。
リーバイと、大会4位でUzuri使用をしたサムダンドーのインタビュー動画です。