[Altered TCG]魅力②”デザインパワー7対策: 前編”

Alteredのプレイが何故面白いのか?独自の見解を行なっています。今回は以前とあるポッドキャストシリーズで語られた、ゲームのバランスを損なう可能性を秘めているデザインのパワー7シリーズを参考に、AltereDがこれらにどう向き合っているか?を現在公開されている情報から分析してみました。

米国のカードショップTeam CovenantのYoutubeチャンネル登録者数は5万7千人を超え、新規TCGトップ・インフルエンサーと言えます。そんな彼らが2年ほど前にThe Power Sevenと題して、7つのカードゲームデザインにおける危険構造について語っていたポッドキャストのシリーズがありました。

どれも使い方を一歩間違えれば、ゲームバランスを損なうゲーム構造と納得できます。実際にこれまで多くのゲームが、これらの構造を用いたカードにエラッタや禁止カード処置を施してきました。

  • Limit One(一枚限定)
  • Recursion(再帰)
  • Denial(否定)
  • Memory(メモリー)
  • Silver Bullets(シルバーブレット)
  • Resource Card(リソースカード)
  • Free(フリー)

このほとんどはデザイナーの意図した通り使用されれば、ゲームの奥深さと楽しさに繋がるゲーム構造たちです。つまり、プレイヤー観点から見るとゲームバランスを壊さないように正しい対策をとって、ゲームに取り入れて欲しいというのが理想だと思います。

今回から2、3回に渡って、AltereDがこれらの1つ1つにどう向き合っているのか現時点で公開されているカードやゲームシステムを元に勝手に考察し、そこから自分が感じているこのゲームの魅力に繋げてみようと思います。

これはデッキに1枚しか含めないカードのことです。

長所

  • 通常よりも強力なカードデザインできる。
  • プレイバリアンスが向上

短所

  • 運で勝ち負けが決まる?

デザイナー観点から見るとこのシステムは、通常より強力な効果を持ったカードを作ってそれをデッキに1枚のみと制限することで確率的にパワーバランスをとるのに使うことができます。

しかし、この1枚限定の長所と短所は、良くも悪くも「運」に頼ったシステムと言う部分です。

デッキに1枚しかないので、個々のゲームで各ゲームの再現性が下がります。これにより、TCGの醍醐味である各ゲームのプレイバリエーションが向上します。ただし、これを長所と取るか短所と取るかはプレイヤーによると思いますが。しかし、こうして設計されたカードがあまりに強力すぎるとゲームの勝敗は結局、先にこのカードを引いた方が勝ちという完全運ゲームとなってしまいます。

デザイン:サポートあり

手段:ユニークカード

AlteredDにある3段階のレア度の中で最もレアな「ユニーク」は、キャラクターカードのみに存在します。「ユニーク」はその名の通りで、コンピューターアルゴリズムで生成された、パラメーターとテキストの組み合わせが世界に1枚しか存在しないカードです。

現在のところ公開されているユニークカードは1枚のみなので、情報不足な面もありますがレア版のカード比較してみましょう。

レア版

リザーブ召喚:私は3ブーストを得る。

ユニーク版

カードを1枚ドロー

あなたがコントロールする、ブーストされていないキャラクターが1点以上のブースト得る時、あなたは一体の対象キャラクターからFleeting(フリーティング=儚さ)を失わせても良い。

X:このターン中あなたが次に手札からプレイするキャラクターのリザーブ召喚トリガーを発動する。

アートとカードの名前を無視すると、全く別のカードですね。レア版が単体で完結しているカードなのに対して、このユニーク版はシナジー効果を利用するカードのようです。

バランス対策

AltereDでは、以下の3つ方法でリミット・ワンのバランス対策を行なっていると思われます。

  • アルゴリズム制限
  • 3枚制限
  • 世界に1枚

基本的な対策法としては、カードデザイン時に使用されるアルゴリズムに制限を用いてます。単純に生産される数から、強力なユニークと、全く使えないユニークで振れ幅は大きくなることは確定ですが、上限が存在することでゲーム中の他のカードとのバランス調整が行われるようです。

2つ目の対策はデッキに含めるユニークカードは、合計3枚までの制限です。これにより、極端にユニークカード達に頼ったデッキが作れないようになっています。

この2点のみ対策だけだと、アルゴリズム作成された3枚のユニークカードの組み合わせが偶然にもゲームバランスを損なうシナジーを生み出してしまうという可能性は残ります。

そこでAltereDにおける最大のリミット・ワンのバランス対策と思われるのが実は、ユニークカードのデザインそれ自体です。それぞれのユニークカードの公式所持者は世界に1人しかいないので、これらのカードはメタカードの基準として使用できません。もし世界で最強の3枚のユニークを集めそのシナジーをマスターしたプレイヤーがいたとしても、それが本当に最強かを証明することすら不可能に近い状況です。なぜならこれらの情報は残りの全てのユニークをみてからでしか判断できないからです。

感想

リミット・ワンのデザインに関ししてはどちらでもいい派ですが、AltereDのユニークに関してはTCGの面白さの根本にある、常に予想外のサプライズをゲームデザインのレベルでサポートする構造なので、その未知の可能性に惹かれています。

再帰

一度使用したカードを、捨て札からもう一度プレイできるというルールです。

長所

  • 特有の戦術と戦略
  • 再現性が向上

短所

  • デッキアウト戦術

王道TCG、マジック・ザ・ギャザリングなどでは捨て札は「墓地」と呼ばています。墓地からカードを再び使うというのは、アンデッド系のクリーチャーが蘇るというテーマとプレイスタイルが合致するという点で必須なゲーム構造だと思います。

同じカードを複数回使用できるという構造は、デッキの再現性を上げることに繋がり、スキルを重視するプレイヤーに好まれます。

短所は再帰カードを使って相手のデッキアウト(山札切れ)を狙う戦略が可能になる点です。このプレイスタイルは相手の攻撃をひたすら防ぐという戦法なので、試合時間が長くなり対戦相手から見るとゲームテンポは極端に下がり、競い合いの感覚が薄くなります。このためカジュアルプレイヤーの多くが「プレイしていて面白くない」と感じてしまう戦略と言われています。プレイが面白くない=ゲームをする意味がないとなってくるのでこの戦略が一般的になりすぎると、カジュアルプレイヤー離れに繋がる恐れがあります。

AltereD

デザイン:サポートあり

手段:

  • リザーブ
  • Fleetingを失う効果

AltereDでは手札からプレイしたカードは捨て札には直接移動せず、特殊な効果がない場合は基本はリザーブゾーンに設置されます。そしてリザーブに設置されているカードは、リザーブコストを支払うことで再びプレイすることが可能です。リザーブからプレイされたカード(リザーブ召喚と勝手に呼びます)には、Fleeting(フリーティング=儚い)というキーワードが付加されます。このキーワードは、プレイ後ラウンド終了時にリザーブではなく、捨て札に移動するというものです。つまりAltereDでは基本的に殆どのカードが1回限定の再帰を搭載しているということです。

しかし、これだけではなく何度でもリザーブに戻るカードも存在します。

リザーブ召喚 私は2ブーストを得て、フリーティングを失う。

例えば孫悟空のレア版はリザーブ召喚時に「フリーティングを失う」という効果があるので永遠にフリーティングが付かず何度でもリザーブ召喚が繰り返せます。

バランス対策

対策としては以下の2点が鍵だと思います。

  • Sabotage(サボタージュ・破壊工作)
  • デッキ切れなし

手札召喚:サボタージュ

リザーブ召喚:私は1ブーストを得る。

1つ目はカード効果による直接対策です。既に公開されている複数のカードに使用されているキーワードで、リザーブカード破壊の効果を意味するサボタージュがあります。これは一般的に除去系のカードが乏しい、アグロアーキタイプのブラボースターターデッキにも含まれています。このカードをタイミングよく使用すればリザーブに入った孫悟空をそのまま捨て札山へ送ることができます。

もう一つの対策は、なんとこのゲーム本当の意味でデッキ切れがありません。山札を使い切ったら捨て札山のカードをペナルティなしでシャッフル。そして、そのままプレイ続行。このためAlteredでデッキ切れを目的とした消耗戦はあり得ません。

感想

デッキアウト戦略が好きなプレイヤーにとっては残念なルールかもしれませんが、それ以外のプレイヤーにとっては再帰システム対策が完全にとられていて、安心して再帰システムの長所を楽しめる構造だと感じています。

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