Ashesの魅力① 一貫性を持ったサイコロ・リソースシステム!?

このゲームの存在は数年前から知っていましたが、サイコロを使ったリソースシステム=運を優先したランダム性の高いキッチンテーブル型カードゲームという勝手な思い込みから無視していました。しかし、実際にプレイしてみるとAshesはこれまでプレイしてきた対戦型カードゲームと比較しても1、2を争う運よりもスキルを重視したゲームでした。そして、これを根本的に支えているのがサイコロを使ったAshesのリソースシステムです。

開発元:Plaid Hat Games
発売日: 2015年
ジャンル: 拡張型対戦カードゲーム

timeline
	2015: Ashes Rise of the Phoenixborn発売
	2019: 開発中止
	2021: Ashes Reborn (version 1.5)として復活
	2023: PvE Red Rainシリーズ発動
	2025: Ashes Ascendancy発表

Ashes: Rise of the Phoenixbornは、2015年夏にアメリカ最大級のボードゲームイベント・Gen Conでデビュー。ゲームは1対1の通常のTCG・CCGにおける高額の資金を必要としない本格対戦型カードゲームとして登場。その発売方法はトレカのブースターパックではなく、定期的に発売される完全新規・少数カードの拡張パックはそれぞれ内容が固定されているExpandable Card Game(拡張型カードゲーム)という分類で呼ばれます。

ゲームは発売当初からトレカと比べて安いという他にも、その戦略性の奥深さ、ボーダレスアート、独特なゲーム構造からコアなファンがいたようですが、Plaid Hat Gamesが吸収合併されたため2019年にゲームの開発が中止されました。

しかし、その2年後、2021年にPlaid Hat Gamesが再び独立し、名前もAshes Rebornとしてバージョン1.5が発売。その後、7つ目の魔法タイプを追加。さらに2023年には、本格的な対戦型カードゲームとしては珍しい既存のPvPカードと完全に互換を持ったソロプレイモード・PvEを中心とした拡張サイクル・Red Rain始動。

そして、今年2025年・誕生から10周年を迎え、Ashesは3度目の名前変更でAshes Ascendancyとなりその最初の製品となる最新スタータセットを中心にしたキックスターターキャンペーンを公開。3000人近くのバッカーから$480,000以上の支援金を集め現在もレイトプレッジ購入が可能となっています。

Ascendancyは、Ashes Rebornと完全互換を持ったゲームですが、PvEはこれまでの対戦相手キメラからさらに通常プレイヤーデッキのデザインに近づけたドラゴンボーンが登場。販売方法も今後は絶版となった後もオンラインデッキビルダーで好きなカードを組み合わせて購入が可能になるプリントオンデマンドシステムを開始。さらにすでに7種あった魔法種に新たに2種追加。Ashesはスキル重視のカードゲームとしてコアなファンに支持されており、今後の展開が期待されています。

情報元: https://www.kickstarter.com/projects/plaidhatgames/ashes-ascendancy?lang=ja#h:The-History-of-Ashes

リソースシステムの種類

個人的には新規TCGを発見すると真っ先に気になる点の一つがそのゲームがどのタイプのリソースシステムを採用しているか?です。

リソースシステムとは、ゲーム内でカードをプレイするために必要なコスト=リソースをどのようにして支払うか、貯めていくかということなのですが、自分の中では基本3種に分類しています。

固定型

固定型リソースシステムは毎ターン決まったリソースが各プレイヤーに与えられるシステムです。固定型には常に同じリソース(絶対固定)とゲームが進行していくとターン数によって自動で増えていくランプ型に分れます。

カード型

マジックザギャザリングなどのようにリソース自体を専用カードで表したゲームでは、それ自体がゲームのデザイン構造の対象になるので可能性は無限と言えます。

犠牲型

マジックで見られる土地事故の対処法の一つとしてよくみるのが、通常のカードをプレイする代わりにリソースとして使用するシステム。最近の個人はまったゲームの例だとFlesh and BloodやAltered TCGがこのシステムを使用しています。

リソースシステムから見る全体のゲームデザイン哲学

固定型リソースシステムは、リソース使用以外は基本自動なのでプレイヤーは3種類の中でいい意味でも悪い意味で最もシンプル・原生的といえます。

逆にカード型は、デザインの可能性は無限大なのですがプレイヤーはゲーム中自分でリソースを作り上げていく上に、デッキの構築時からリソースと他のデッキカードとのバランスについても配慮しなくてはいけなくなりこれを奥深いリソース管理の楽しみと感じるか、面倒な作業と感じるかで別れるところです。

個人的にはデザインスペースが多ければ多いほど、想像力が高まるのでカード型リソースシステムが一番好きです。


Ashesのリソース管理は、このゲーム専用の6面ダイスを使用します。各ダイスはカードプレイやアビリティ発動などのコストを支払うのに使用します。

各ダイスの色はゲーム内での魔法の種類を表していて、マジックなど他のカードゲームにおける色マナのゲーム構造を再現しています。

リソースデッキは、10個のダイス

デッキ構築時に、好きな色の組み合わせのダイスを10個選びます。

コストは3段階

それぞれのダイスには3種類の面があり、動物が描かれたパワー面(1)、物体などが描かれたクラス面(3)そして専用記号が描かれたベーシック面(2)があります。

それぞれ、左から順に上位互換となっていて、パワー面のダイスなら、その下位互換となるクラスまたはベーシックのコストとして、クラスならベーシックのコストとしても使用可能です。そして、ベーシック面は色に関係なくどのベーシックコストでも支払うことができます。

例えば、ハンマーナイトのプレイコストは羊(儀式魔法パワー)1、葉っぱ(自然魔法のクラス)1とベーシック1なのでデッキ構築時に少なくとも儀式と自然魔法のサイコロ両方を入れておくことと、ラウンド開始時に振ったサイコロの面がそれぞれの必要な点数分必要という計算になります⚠️。

⚠️実は、ラウンド中にサイコロの面を変える方法があります。

ラウンド開始時にロール

各ラウンドの初めに、その前のラウンドで未使用でそのまま残しておきたいダイス以外は全て振りなおします。

使用後は専用カードの右側へ

各色のダイスには専用のカードがあり、未使用のダイスはカードの左側。使用後は右側へ置くことで他のゲームでのリソースカードタップと同様の構造を表現しています。

Ashesリソースシステムの長所

2次元に加わる3次元の感触

基本的にカードゲームはそれ自体が平面で行われるゲームなのですが、そんな中時折加わる3次元の物体に何故か気分が上がるという経験はありませんか?

Ashesでは他のゲームでカードをタップしてリソース使用を表すところが、サイコロを左から右に動かしたり、対象のカードの上にカウンタートークンのようにサイコロを置いたりと公式のゲームルールの中に3次元物体が加わっています。

9個魔法種=広がるファンタジー気分

各ダイスの色は魔法の種類を表していて、Ashesでは一般的な5種分類を超えてすでに7種。さらに最新セットで2種加わるので、合計9種も存在してます。

オリジナル勝手に和訳
Artifice術式魔法
Astral星霊魔術
Ceremonial儀式魔法
Charm呪術魔法
Divine神聖魔法
Illusion幻想魔法
Natural自然魔法
Sympathy精神魔法
Time時空魔法

この複数分類だけでも、ファンタジー世界観が感じられてテンション⤴️

しかも、Ashesでは発売当初4種だった魔法種が9種まで増えたという歴史があるので、今後も必要に応じて魔法種が増える可能性があるということでこの辺もゲームの今後を勝手に想像するのが好きな自分には楽しみが増えるところです。

ダイスは、カード!

3面の中で最高位のパワー面ですが、これは単に高コストを支払うためだけではなく、パワー面のダイスはそれ自体を魔法として使用することがでます。これはダイスパワー効果と呼ばれていて、各色のダイスによってその効果は異なります。

例えば、チャームマジック(呪術魔法)の効果は相手の対象のユニットにダイスを付加して攻撃力を下げることができます。逆にディバインマジック(神聖魔法)なら味方のユニットに付加して攻撃力を増やすことができます。

他にも、ナチュラルマジック(自然魔法)なら対象に直接ダメージを与えたり、イリュージョンマジック(幻想魔法)なら相手のリソース値を減らしたりとそれぞれのテーマによって、他のゲームなら専用カードとして存在するであろう効果があります。

最初から全力攻撃!

Ashesの生みの親アイザック氏が公言している、このゲームのデザイン理由の一つがそれまで王道だったゲームとは違い、プレイヤーに最初からヒーローが最大の力で戦えるようなシステムにしたかったという点があります。この辺は、Flesh and Bloodのデザインも同じようなことを公言しています。

Ashesは最初から10点のリソースを持っているためプレイヤーの選択次第では、いきなり最初の1手で最強のユニットを召喚なんてことも可能です。

ダイスプールと手札調整

どのゲームもリソースシステムのデザイン段階で何らかの形でマジックで悪名高い「土地事故」の対処方法を織り込んでいると思うのですが、Ashesはダイスでランダム性を持ちながら巧みにスキルを使って運を調整できるシステムに仕上げています。

まずその一つとなるのがAshesのラウンド開始フェーズの順番です。

Ashesでは、ラウンド開始時のダイスロールを終えた後に、ドローフェーズを行います。Ashesではラウンド開始時のドローフェーズでは手札が5枚になるまでカードを引き、ドローフェーズの直前に手札に残っていたカードを捨てるという選択ができるため、ダイスプールを見た後で手札を調整することが可能になっています。

瞑想

手札調整を行なっても、結果的に思ったカードが引けなかったりどうしてもプレイしたいカードがあるのに必要なダイスリソース面が足りなかったりということはもちろん運の要素から起こります。そこで重要なのが、「瞑想」システム。

AshesはAltered TCGやDrakeriionのように交互にターンを行う同時ラウンドシステムを使用したゲームで、各ターンプレイヤー1つのメインアクションとサイドアクションを行うことができます。そしてこのサイドアクションの選択肢として「瞑想」というアクションを選ぶことが可能です。

瞑想を選択すると、プレイヤー好きな枚数のカードを手札、山札または場に出ている発動スペルを捨て札におくることでその数の分のダイスを好きな面に変えることができます。つまり、不運にもパワー面が1個も出なかったラウンでもでも、瞑想を行うことで10個すべてパワー面に変えることも可能ということです。

瞑想システムにより、必要なら確実にラウンド中にどんなカードでもダイスの出目に関係なく最終的にはプレイすることが可能となっています。

もちろん、瞑想することによってのデメリットがなければ元々ダイスを振る意味がなくなってしまうので、この辺は絶妙なバランスのデメリットが存在しています。

1つ目は、テンポロス。瞑想にはサイドアクションを使用するため、通常ならサイドアクションとメインアクションを繋げたワンターンでのプレイが、瞑想のタイミングを間違えると1ターン遅れることになります。

2つ目のデメリットは、スタミナ消耗です。カードゲームにおける山札や手札はそのプレイヤーのスタミナ戦闘手段=スタミナとして捉えることができるのですが、このゲームではデッキ切れ後のラウンド開始時の各ドローはダメージとして返ってくる為、一見すると直接現ラウンドには関係ない山札を瞑想の種に使って、現在のラウンドを全力でプレイしたとしても、ゲームが長期化すると後のスタミナ切れに直結することになります。そして、このゲームでのデッキ切れはデッキのサイズと、ドローシステムの面から十分にあり得るのでスタミナ切れと瞑想のリスクが絶妙なバランスでデザインされています。

ダイスとリソースのシナジー=♾️の可能性

瞑想システムにより、パワーダイスシステムはカードゲームとしては類まれなレベルでの一貫性を持ったゲーム内効果といえます。そしてこの事実を利用したのが、パワーダイス効果使ったカードの意図的シナジーです。

ユニットガード: このユニットは他の攻撃対象になったユニットをガードしても良い。

偉業 2: このユニットがチャームダイスを載せたユニットと戦闘する時、このユニットのアタック値は2点増える。

チャームダイスで相手のユニットの攻撃力を1点下げるだけではなくそのユニットと戦闘した場合攻撃力を上げるユニットだったり、神聖魔法の付加を得た自軍の全ユニットのライフと回復力を向上させたりとパワーダイス効果の可能性が無限に広がっていきます。

Ashesのリソースはスキル重視のカード型!

Ashesの魅力を語る上で欠かせない点がダイスを使用したリソースシステム。一見すると「固定型に強引にランダム性」をつけた奇抜な簡易システムと思いきや、実はカード型リソースシステムの持つデザインの可能性と、通常のカード型リソースでは得られない一貫性によりそれ自体を戦略中心としたデッキ構築すら可能となるカードゲームリソースシステムの一つ完成系と感じました。