コレクタブル・カードゲーム
海外ではトレーディングカードゲーム(TCG)は、コレクタブル・カードゲーム(CCG)と同意義で呼ばれていますが、実際にそれぞれのカードゲームが「コレクション」としての価値があるかは一般的に見てゲームによって大きく違いが出ていると思います。
まず、カードゲームにコレクションとしての価値があるかは以下の2点が重要になってきます。
- 希少度
- 需要度
TCGにおける希少度はカードの強弱を表していると思われがちですが、実際のところ希少度は市場に出回るカードの枚数を表しています。
A booster pack contains 16 cards, being:
– Rainbow Foil – 1 per pack
情報元: https://fabtcg.com/products/booster-set/uprising/
– Rare or higher – 2 per pack (1 Rare + 1 Rare/Majestic)
– Common – 11 per pack
– Token – 2 per pack
– Cold Foil – 1 per display
- Fabled Cold Foil – ???
- Fabled Rainbow Foil – ???
- Legendary Cold Foil – 1 per 220 packs
- Legendary Rainbow Foil – 1 per 80 packs
- Majestic 1 per 4 packs
- Rare 1.75 per pack
- Common 11 per pack
- Token 47 per 24 packs
- Cold Foil 1 per 24 packs
- Rainbow Foil 1 per pack
- 16 total cards per pack
情報元: https://fabtcg.com/articles/fab-20/
例えば、最新セットのUprisingを見てみると各ブースターパックに最低11枚のコモンに対してマジェスティックレア度のカードは4パックに1枚の頻度となっています。例えば市場で1万個のブースターパックが出回ったするとろ、11万枚のコモンカードに対して2500枚のマジェスティックしか存在していないということになります。FABにおける最高レア度のフェーブルドカードだと960パックに一枚と言われているので上の例だとわずか十枚だけしか市場にない計算になります。
コレクター観点から見るとこの「手に入りにくい」という希少度が収集家魂を刺激することになります。ただもし、開発者が無制限にパックを再版し続けたり、多くのプレイヤーがゲームに飽きてたり・カードを保持する価値を見出さなくなりいくらでもいいから売れればという状況になると、最高度レア度のカードですら数百円・数十円で買えることにになり少なくとも金銭的に見た時にコレクションとしての価値は無くなってしまいます。全カードコンプリートしているゲームを他人は1000円で全く同じもをすぐに揃えられるとしたら、集める価値は感じられませんよね?
ただし、過去の回でも触れましたが、FABは公式の大会で使用可能なカードは全て再版の可能性があるというポリシーを発売当初から打ち立てています。これ自体はプレイヤーにとっては非常にありがたいものの、いずれは供給が需要を超えてしまうのでは?とコレクター観点から見たとき心配になるかもしれません。
需要と希少度からくる供給が噛み合った時、カードに金銭的価値が生まれコレクターは自分達のコレクションを見ながら優越感に浸れるようになるのです。
FABは他のゲームと同様かそれ以上にコレクターのことをしっかりと考えて設計されています。FABにおけるコレクターの為に要されたゲームデザインは以下の5点です。今回はこれらに注目してみました。
- コレクター専用レア度
- 印刷分け
- Foil分け
- アート分け
- 縁分け
レア度
FABにおけるレア度は、コモン、レア、マジェスティック、レジェンダリーそしてフェーブルドです。
⚠️最初の2セットにはレアとマジェスティックの間にスーパーレアが存在しました。
レジェンダリーの配布率は96パックに一枚。レジェンダリーカードは装備品でデッキに一枚しか含めないものの競技レベルのデッキには絶対必須のカードたちなので市場ではかなり高値がついています。
各ターン1回限定:もしあなたの指揮下にあるアタックアクションがチェーンリンク3回連続以上ヒットした場合、カードを一枚引く。
ブレードブレーク
例えばセット1で登場した余勢の仮面は最新のセットで追加された連続攻撃を得意とする忍者クラスの新ヒーロー・ファイの登場で$90から一時期$170まで値上がり。今もなお$145と高値を維持しています。
しかし、ここで最も注目すべきは、コレクターのために作られたと思われるレア度「フェーブルド」です。なんとその配布率は960パックに一枚。
オフシディアの眼をピッチした時、選択2。
例えばセット2のフェーブルドカードはピッチのみに使え、ピッチした時にデッキの上二枚のカードを見てデッキの下か上に戻すことを選べるというゲームの勝敗に影響がほぼ皆無のカード。実際大会レベルのデッキを見てもこのカードを入れているものはほぼありません。
ただ960パックに一枚という鬼のような配布率にコレクターは魅せられ、結果として需要と供給が程よくマッチ。一枚のカードとしては超高額の$300で現在は売買されていますが、コレクターにとっては十分手の届く額ではないでしょうか?
印刷分け
これは書籍と同様で、数に限りがあり初版は多くのコレクターにとっては重要な意味を持っています。
例えば第1セットのWelcome To Ratheのアンリミテッドブースターボックスは現在$60程度で購入可能ですが、初版であるアルファボックスはオークションサイトで数千ドルで売買されています。実際にFABでは最新のセット7・Uprisingまではまず初版を発売して数ヶ月後にアンリミテッド版を販売していました。しかし、Uprising以降は初版とアンリミテッドを分けての販売方法は廃止になりました。
それぞれのカードがどのセットからかは下枠に記載されています。
例えば右のカードだと、WTR191-Cと書かれていますがこれはWTR=Welcome To Rathe=セット1からのカードを表しています。
これに対して、左のカードはUPR209と書かれています。これはセット7で再販されたカードで、アートもテキストも全く同じですがセットが違うとわかりますね。
カード自体の再版はあっても一度廃盤となったセット自体は再版されないので、初版のような価値はなくともこだわりのコレクターはセットを集める時、そのセットから発売されたカードを揃えようと思うかもしれません。
Foil分け: 新たなFoilスタンダード?コールドFoil
Foilは他のゲームやシールでもお馴染みの「キラキラ」カードのことですが、FABでは他のゲームで見られるレインボーFoilに加えて、コールドFoilという特殊技術を用いたバージョンが最高価値のカードとして扱われています。
What Unlimited Edition doesn’t have is Cold Foils.
[…]
Cards that feature as Cold Foil in their original print, will instead be found as rainbow foils in Unlimited Edition boosters, and we assure you, these cards look beautiful as rainbow foils.
https://fabtcg.com/articles/wtr-arc-unlimited-edition/
FABでは最初のアンリミテッド発売当初から初版とアンリミテッドの差は初版にはコールドFoilがあるのに対して、アンリミテッドではこれらのカードがレインボーFoilになっているが、それ以外は縁の色も含まれるカードも同じと記載していました。
具体的にコールドFoilとは、それ自体が技術名なのですが、プレイヤー的観点から見るとマジックなど使用されているFoilはカードが反り返りやすくFABのレインボーFoilも同様で、大会使用時はなどはカードのマーキングにならないように気をつけないといけないそうです。これに比べてコールドFoilカードは反り返りがないとのこと。
The cold foil reprint policy remains in place, and will continue to protect all 1st Edition cold foils. Additionally, the policy will be expanded to include cold foils in all future standalone booster sets and expansion booster sets (formerly called supplementary boosters), starting from Uprising. For example, cold foils that appear in Uprising, will only ever appear in Uprising (with the exception of organized play cold foil prize cards, as normal).
https://fabtcg.com/articles/fab-20/
初版とアンリミテッドの販売分類を廃止したセット7以降では、どちらもブースターパックから引ける可能性はありますが、コールドFoilの方は圧倒的に希少で各パックに1枚レインボーFoilが入っているのに対して、コールドFoilは24パックに1枚の配布率になっています。
また今後、他のセットでカードが再刷されてもコールドFoilバージョンはオリジナルのセットのみに限定するというポリシーを明白しています。
各ターンあなたがプレイする基礎アタックが2以下の2回目のアッタックアクションカードは+1 ATKと”これによるダメージは回避不可とする”を得る。
ブレード・ブレーク
例えばレジェンダリー防具の一つを見てみるとレインボーFoil版がUS$88なのに対してコールドFoil版はほぼ倍に近い$160で売買されています。
アート分け
カードゲームではお馴染みのオルタネイティブアートや拡張アート版はもちろんFABにも存在します。ただこれまでは基本イベント参加商品のみで、ブースターパックから当たることはありませんでした。しかしセット7以降はこれまでの5段階レア度に新たにマーベル(Marvel)と呼ばれるコレクター専用と言えるレア度が追加されました。
例えば、拡張アートのマーベル版・ドラゴンカードのオプティマイは$126なのに対して、通常盤は$2.67です。
縁分け
FABにおける4つ目のカード分けの方法は縁の色です。基本は黒縁ですが、マジックにおけるマスターズセットのように以前に発売されたカードから選り抜きを集めたセットにあたるヒストリーパック1では白になっています。
⚠︎これまで発売されていなかった言語バージョンは、ヒストリーパック1が最初のセットに値するので黒縁。
現在、黒縁のオリジナルセット版とヒストリーセット版のカードはあまり値段に差がないようです。
縁の色で最も希少なのがゴールド縁でこれは大会で好成績をおさめた賞品として配布されているため、数にかなり制限があります。プロツアー優勝賞品などとなってくるとどのカードがどの大会のどの優勝者から出回ったか分かるようになると思うので今後FABが競技TCGとして人気を広め続けていけば人気のプレイヤーの手に入れたカードには想像も使いない額がつく可能性もあるかもしれませんね。
まとめ
ブースターパックを開けた時にFabledやコールドFoilの高レア度カードを当てた時の喜びは童心に戻ったぐらい喜びが湧いてきます。FABはコレクター専用ゲームと言っても過言ではないぐらい収集家を意識したカードゲームデザインになっています。
既存するプレイ可能なカードを一枚ずつ全てを集めるという一枚コンプを目指すコレクターにはコールドFoilやレインボーFoil版をさけ、さらに再印刷版も入れていけば各セット10万円前後でそろえることも可能。
こだわり抜きたいコレクターは既存するすべてのカードのコールドFoil版やゴールド縁版を集める!という数百万は確実にかかるであろうこだわりも可能。
今から30年後にはフレッシュアンドブラッドからも、億越えの価値をもつマジックザギャザリングのカード「ブラックロータス」のようなカードが出ているかも?