【FaBrain】アーセナル理論 ~ 欠点編 ~

アーセナル使用は利点だけではありません。今回はアーセナル使用における欠点について考察していきます。

アーセナルの欠点

アーセナル使用で生まれる欠点は5種類に分類できると考えます。

アーセナル利点と同様で、どれか一つのデメリットしか影響を受けない場合もあれば複数のデメリットの影響を受ける場合もあります。それぞれのデメリットとその解消法を見ていきます。

プレイ限定化

FaB特有のゲーム構造の一つが1枚3役ですが、アーセナルに設置されたカードはプレイのみが可能となりブロックとピッチという2役が選択から消されます。

一般的にブルーカードはピッチ用、ブロック用、多くの場合は両方として使用するためにデッキに含まれています。よって、これらのカードをプレイ使用する場合、そのカードの表現価値を下げることになります。

インスタント – {r}{r}{r}: デッキの一番上のカードを見る。もしそれが’ノン・アタック’アクションカードなら、それを追放しても良い。もしそうしたならば、あなたはそれをインスタントとしてこのターン使用しても良い。

例としては、Kanoのヒーロー能力は3点リソースを必要し、戦略の中心となるため、デッキの大半はブルーカードとなっています。しかし、ブルーカードをプレイ使用した時の効果はコンボターン以外は基本的に(大きく)レート未満となります。よって、これらのカードをアーセナルに設置するということは、本来の用途から外れるプレイ用として限定することになり、カード自体そして結果的にターンEVを下げたことになります。

解消法

プレイで表現価値を発揮できるカードをアーセナルに設置する。

プレイ限定化によりアーセナルに設置したカードのEVが下がったとしたら、これはプレイヤーが間違ったカードをアーセナルに設置してしまったということです。

解消方法は、アーセナルに設置するカードは基本的に最初からプレイ使用を目的としてデッキに含まれているカードを意識することをお勧めします。

テンポロス

自分のターン終了時に手札からアーセナルに1枚カードを設置する場合、基本的にはそのターン手札から1枚カードを使用しなかったことになるのでその分テンポを失うことになります。多くの場合はこれはアーセナル使用における必要コストとして考えることができます。

解消法

基本的にテンポロスは必然なのですが、軽減・解消する方法もあります。

①正しくアーセナルを使用=テンポロスは一時的

解消法の第1は、正しくアーセナルを使用することです。正しいカードをアーセナルに設置して使用できた場合は、設置時にテンポを失っても、以降のターンで失った以上のテンポを得ることができるはずです。

使えなかったカードを設置

リソースが足りなかった、アクションポイントが足りなかったなどの理由などで、どの道そのターンつかえなかったカードはアーセナルに設置してもテンポを失ったことにはなりません。

ただし、これが頻繁に起こる場合は、4枚手札を上手く処理できていないデッキ構築の方に問題がある可能性もあります。

ターン終了間際のドローカード。

本当の意味でのテンポロス解消法があるとすれば、ターン終了間際のドローカードです。

もしSnatchがヒットしなたら、カードを1枚引く。

多くのデッキに含まれる、Snatchやドローモードで使用するEnlighted Strikeのドロー効果が典型的な例です。通常、これらのカードの効果でカードを引けてもアクションポイントがないのでそのターンは使用できず、一見するとターン終了時にどのみち手札に引くはずだったカードを1枚、ほんの一瞬早く引いただけに思われます。しかし、この一瞬早く引いたカードにはアーセナルに設置するかしないかの選択肢が生まれます。

この利点をトークン化したものがPonderトークンですね。

あなたのターン終了開始時に、Ponderを破壊してカードを1枚引く。

この状況で引いたカードをアーセナルに設置した場合は、そのターン手札を全て使いきってさらにアーセナルにカードを加えることができたことになります。この時、テンポロスはありません。

④特殊能力・効果

あなたが手札からカードをプレイするとき、あなたはカードを1枚手札から伏せてアーセナルに設置しても良い。

あなたのコントロール化にあるトラップが発動するたびに攻撃中のヒーローに1ダメージを与える。

限定的ですが、レンジャークラスなどはヒーロー、武器・装備能力や、カード効果でターン終了時外でアーセナルにカード設置することが可能なものが複数あります。これはアーセナル使用を戦略の中心とするクラス特有の効果・能力なので他のヒーローやクラスには使えないのですが、レンジャー使用時には上手に使用することが必須となります。

各ターン1回インスタント-{r}:あなたはアローカードを手札から表向きにアーセナルに設置しても良い。

各ターン1回インスタント-{r}:あなたのアーセナルに裏向きで置かれているアローカードを表向きにしても良い。そうしたならば、Aimカウンターをそれに置く。

例えばBarbed Castawayの上の発動能力を使用して、アーセナルにアローカードを設置するとカードは表向きにおかれAimカウンターを置くことができません。

しかし、もし前のターンで相手の攻撃をデフェンスリアクションなどでブロックしてRiptideのヒーロー能力でアーセナルに裏向きに設置した場合は、Barbed Castawayの下の発動能力でAimカウンターを付けてアローカードを強化するという選択肢が生まれます。

ダブルテンポロス

アーセナルカード設置時のテンポロスは必要コストなのですが、間違ったカードをアーセナルに入れることでアーセナルカード使用時にもう一度テンポを失う状況に陥ることもあります。

例としては、プレイ限定の時に触れたピッチ・ブロック用のカードをアーセナルに設置してしまった場合などです。

状況:

既にアクションポイントを消費するカードを使用。残ったブルーカードでKanoの能力を発動して山札の一番上を見たところ、コンボに重要なAether Wildfireでした。このカードは単体で自分のターンには使いたくないので、追放せずにこのターンの終了時に引いて次の自分のターン終了時にアーセナルに設置することを決断。

この時点で、手札にブルーカードのザップが残りました。アクションポイントがないので使用できません。アーセナルは空いています。

対象のヒーローに1点のアーケンダメージを与える。

そこで残りのコンボカードも手札に揃えようと思い、なるべく多くターン終了時にカードを引きたいという理由から、Zapをアーセナルに設置しました。

しかし、迎えた次の自分のターン、手札にあるAether Wildfireをアーセナルに設置するためには、このターンまずは既にアーセナルに設置してあるZapをアーセナルからプレイしなくてはいけません。

このカードは、他のウィザードアクションカードと同様でアクションポイントを消費します。よって、Energy Potionや、Swelling Tideなど自分のターンに手札から本当に使用したいカードが、Zapを使用した場合は使えなくなります。よって、このカードをアーセナルから使用するためにテンポをもう1度失うことになります。

解決法

プレイ使用でターンEVが下がるカードは、特別な理由・メリットがない限りはアーセナル設置を避ける。

ダブルテンポロスは「可能なら常にアーセナルを埋めておいた方が良い」「手札にカードが1枚余分に引けるから」などの理由から実際のアーセナルカード使用時のEVを考えずにプレイヤーがアーセナルにカードを設置してしまうことから起きるミスプレイです。

よって、解決法は単純に使用時のEVを考えてアーセナル設置でEVを下げないか考えましょう。

アーセナル事故

造語ですが、マジックの土地事故を元に、「アーセナル事故」と個人的に呼ぶ状況をアーセナル使用の欠点の一つとして挙げます。

定義は、連続して複数のターンアーセナルからカードがプレイできなくなった状態とします。

対象のヒーローは1{r}を支払ってもよい。もしそうしなければ、そのヒーローのアーセナル、またはアリー1体をあなたの次のターン開始時まで凍結する。

もし、Cold Snapがアーセナルからプレイされた時、カードを1枚引く。

Go Again

これは相手のプレイヤーがCold Snapなどのカード効果で一時的にアーセナルを凍結した状況とは違い、プレイヤー自身のアーセナルに設置したカードの選択によって使用条件などが満たされなくなり起こる状況を指します。

レジェンダリー

あなたがHearf of Fyendalをピッチする時、もしあなたたの{h}が相手よりも低ければ、1{h}得る。

某プレイヤーさんが実際に起こしてしまったアーセナル事故で最も分かりやすいと思われる例がジェムのアーセナル設置です。ルール上はアーセナルに設置可能なのですが、ジェムはプレイできないカードなのでこのカードをアーセナルに設置するとその時点でアーセナルが使用できなくなります。

特殊な状況ですが、アーセナル事故はトッププレイヤーの試合中にも起こりました。

アイス融合

対象の相手は手札を公開する。もし、Brain Freezeが融合されていた場合、0コストのアクションカードを手札からデッキの一番上に置く。

2022年世界大会・準々決勝でのハミルトンのアイスランダーミラーマッチの1戦。第3ターン(相手の攻撃ターン)で、ハミルトンはBrain Freezeをアイス融合して使用。相手はSink Belowを公開。そのまま、相手はSink Belowをアーセナルに設置してターンを終了。

この後、会場を驚かせたのがハミルトンは相手がSink Belowをアーセナルに設置したという知識をもとに、以降は相手に物理攻撃を一才仕掛けないという判断を下しました。Sink Belowはデフェンスリアクションなので、相手の物理攻撃がないと使用できないルールを利用したものです。これにより相手はこの試合アーセナルを完全に失いました。

解消法

この状況は特殊で、アーセナルに設置したカードを知られていた、対戦相手(ハミルトン側)には物理攻撃以外でも勝利できる選択肢があった、自分のデッキにとってアーセナル使用は戦略的に重要だった、そして対戦相手がマイケル・ハミルトンだったという複数の要素が重なった結果と思われます。

アーセナル渋滞

最後の欠点は、アーセナル渋滞という状況です。これも造語ですが、既に設置してあるカードが原因で、他のカードがアーセナルに設置できない・しにくくなり結果的にゲーム全体を通して見た時の総合EVが下がってしまう状況と定義します。

機会費用

経済学上の概念に機会費用というものがあり、アーセナル渋滞の説明に便利なのでFaB用に定義します。

FaBにおいての機会費用とは、プレイヤーの選択よって失われた表現価値となります。

つまり、アーセナル渋滞とはよりアーセナル向きのカードが手札に来て、そのカードが持つ機会費用が既にアーセナルに設置してあるカードのEVより大きい状況と定義できます。

アーセナル期間

もう一つ、これもまた造語ですがアーセナルに使用における重要な変数・「アーセナル期間(Arsenal Duration)」についてもここで定義します。概念はシンプルでアーセナルに設置されたカードが、アーセナルゾーンから別のゾーンに移動するまでのターン数を表します。

つまり、アーセナル期間が長ければ、必然的に機会費用がより高くなる確率が上がり、結果的にアーセナル渋滞の確率が上がることになります。逆にアーセナル期間が短ければ、アーセナル渋滞が起こりにくくなります。

解消法

機会費用を予測

この点に関しては教訓編でより詳しく触れますが、運の要素も加わってくるため完全には解消できない問題です。

しかし、これこそプレヤーのスキルの差が出ます。より経験豊富なプレイヤーはアーセナル期間や、デッキ内に残っているカードから生まれるであろう機会費用を高い精度で予測して、アーセナル渋滞を最小限に抑えています。

もし、あなたが2以上のドラコニックチェーンリンクをコントロールしているなら、Phoenix Flameは+1{a}を持つ。

Go Again

例えば、Phoenix Flameは0コスト、Go again付きなので必要ならばアーセナルにカードを設置した次の自分のターンで使用が可能になるため、アーセナル期間が1ターンサイクル(2ターン)というほぼ最短なのでアーセナル渋滞の原因になることはほぼ*ありません。

それぞれのヒーローはアタックアクションカードをそれぞれの墓地から裏向きでそれぞれのアーセナルに設置する。その場合、それぞれのヒーローは手札を1枚捨てる。

自身のコントロール化でPonderトーケンをそれぞれの相手のコントロール化でFrailtyトーケンを創造する。

Go again

*かなり特殊な状況ですが、例えば相手がCodex of Fralityを使用してきた場合もし自分の墓地によりEVが高いカードがあった場合、Phoenix Flameがアーセナル渋滞を起こしたことになります。ただ、Codexに関しては相手もこちらのアーセナルが空の状態では無策で使用してこないと思われるますが…

感想

アーセナル使用の欠点はその多くが、プレイヤーによるミスプレイです。FaBを始めたてのプレイヤーはこれらのミスプレイをなくすことだけでもゲームが次のレベルにアップできると思います。

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