【FaB】プレビューハイライト | Outsiders: ステルス構造

2023年3月24日に発売を予定している、Flesh and Blood第9セットOutsidersのスポイラーが盛り上がってますね。完全日本語YoutubeチャンネルのUnofficialトモハッピーにもスポイラーカードが割り当てられていて日本FaBの盛り上がりがわかりますね。

プレビューハイライトシリーズでは、個人的に(特にゲーム構造面から)興味を引かれたカードについて独り言を書き留めたいと思います。今回は、アウトサイーダから加わる暗殺者クラスの新ヒーロー・Uzuriのヒーロー能力公開と共にその方向性が見えた新キーワードStealthについて注目です。

編集履歴

3/6/2023 – ウズリの能力裏返しからのトリガー縛りのTwitterの方々のおかげで完璧に謎が解けました。正しく訂正しました。

FaBのヒーロー構造

TCGジャンルの大きな魅力の一つが、遊ぶたびに変わるゲーム性です。これは運によるゲーム毎のバリアンス、デッキカードの組み合わから生まれるプレイスタイル=アーキタイプという2点が鍵となっているのですが、FaBではそこにアーキタイプとは別軸でクラス・ヒーローの選択から生まれる特有のゲームプレイ感覚があります。

そして、FaBはヒーローの一騎打ちを設定にしているゲームなので、まるで自分がそのヒーローになった気分でプレイしているプレイヤー、ヒーローの背景などを読み込んで作り込まれたキャラクターを操作している気分でプレイするプレイヤー、多くのプレイヤーが共通してみなヒーローのクラスや背景と実際のプレイ方法に一貫性を求めていると思います。

筆者はどちらかというと、プレイ中は1人称に近い気持ちでプレイすることが多いのでが、特にヒーローのプレイスタイル・ゲームメカニクスには興味があり、没入感を生み出すためにゲーム構造には個人的な解釈を持ってプレイしています。今回紹介された新ヒーロー・ウズリとそのヒーロー能力から明らかになったステルスについて個人的な見解も交えて独り言を語ります。

暗殺者とステルス

アサシンとステルスという組み合わせは、単語だけ見るとイメージ的にはドンピシャです。

漫画だとハンターxハンターのキルア、ゲームだとアサシンクリード(やったことないけど)、メタルギアのスネーク(暗殺者じゃないけど)などそれぞれ思い浮かぶ何かがあると思います。

しかし、ステルスはそれ自体意味を持たないタグ・ラベル型キーワードで、実際にどのような効果があるはウズリのヒーロー能力で初めてその方向性がわかりました。

各ターン1回限定アタックリアクション – あなたの手札からカードを裏向けで1枚追放する: そのカードを表向きにする。もしそれがコスト2以下のアタックアクションカードなら、対象のStealth付きアタックアクションカードをアクティブチェーンリンクからそのオーナーのデッキの一番下に戻し、追放したカードをアクティブチェーンリンクにアタックカードとして置く。

簡単にその能力を説明すると、ステルスキーワードがついている攻撃中のカードを、攻撃が解決する前に手札から別のカードに入れ替えるというものです。

イメージ的には、相手に静かに歩み寄り後ろから刺すというよりも、忍者が投げた手裏剣は実は囮でその裏に別の手裏剣があった、冨岡義勇に突進していった炭治郎が自分が囮で実は斧を投げていた、真島くんすっ飛ばすの陽炎など感覚です。

Stealth

Back Stabのチェーンリンクにデフェンスリアクションはプレイできない。

例えば、バックスタブで攻撃。相手は1点ならダメージ受けてもいいかとノーブロックを宣言。そこで、ウズリのヒーロー能力発動。

Command and Conquerのチェーンリンクにデフェンスリアクションはプレイできない。

もし、Command and Conquerがヒーローにヒットしたなら、そのヒーローのアーセナルにあるカード全てを破壊する。

このカードとCommand and Conqureを入れ替える、実は6点攻撃のアーセナル破壊だった!

相手がこれを予測して、2枚ブロックしてくれば入れ替えはせずにそのまま相手に2枚を使わせた非効率オーバーブロック。

ステルスは新構造?

ゲームデザインにおいて実際の効果・結果から見るとほぼ同じでも、手順を変えることでそれがあたかも全く別の用に見せる・見えることもあります。それでもなお、多くのゲームが新たなキーワードやメカニクスを追加し続けるのは、ゲームに新鮮さを保たせるためです。

しかし、理由なくキーワードやゲーム構造を増やし続けると、ゲームルールが難しくなるとデメリットの方が大きくなってしまうことも。特に、FaBのようにローテーションなしの、競技TCGではこのあたりのバランスは非常に重要だと思われます。

そこで、このセクションではステルスがギミックのみのキーワード・構造なのか、それとも本当の意味での新構造なのか既存のステルス効果と似ているゲーム構造と比較してみます。

Vs. アタックリアクション

実際にウズリの能力自体、アタックリアクションなのですがこの能力発動によるステルスカード入れ替えと、既存のアタックリアクションカードによるカード強化差はどの当たりにあるのでしょうか??

Stealth

Back Stabのチェーンリンクにデフェンスリアクションはプレイできない。

例えば、Back Stabで攻撃します。

既存のGenericアタックリアクションのRazor Reflexなら6点攻撃、オンヒットでGo Againが得られるカードに強化でます。ピッチコストがかかるので既にリソースが余っていない場合は3枚のカードを消費することになります。

そこで、より分かりやすい比較対象としてアウトサイダーで登場する、Stealthカード限定対象とするアタックリアクションRazor’s Edgeを見てみましょう。これなら0コストで3点攻撃を付加できます。つまり、リアクションフェーズのタイミイングで2枚使って6点攻撃を提示できることになります。

これに対して、ウズりの能力でBack Stabを6点攻撃のバニラカード・Brutal Assaultと入れ替えると、これも同様にリアクションフェーズのタイミングで6点攻撃を提示することになります。

しかし、2つの差はStealthカード入れ替えの場合は入れ替えたBack Stabはデッキに再循環することになります。個人的にはFaBのデッキはピッチしたカードが循環してまた使えるので、デッキの内容の濃さと枚数はヒーローのスタミナとして考えているのでウズリ能力は攻撃はスタミナを一部温存する攻撃方と捉えることができるのではないかと解釈します。

Vs. ピッチ

カードの入れ替えは、スタミナを一部温存できるとしてもデッキが一周しなければ、ターン表現価値的にみても2枚カードを消費して2点以下のコストのカードをプレイする計算となります。よって、普通にピッチと直接入れ替え後のカードを最初からプレイする場合と比較した場合はどうでしょうか?

もちろん、アタックリアクション時に入れ替えるという後出しジャンケン的な要素が最大の差なのですが、これ以外にも興味深い差あります。

例えば最終的にプレイするカードをCommand and Conquerとします。

Command and Conquerのチェーンリンクにデフェンスリアクションはプレイできない。

もし、Command and Conquerがヒーローにヒットしたなら、そのヒーローのアーセナルにあるカード全てを破壊する。

ウズリの能力でカードを入れ替えても消費するカードは2枚。

しかし、入れ替える元のカードがIsolateだった場合はどうでしょうか?

Stealth

Dominate

Dominateが付いているので相手はブロックフェーズ時には、手札からは1枚限定の縛りを受けます。C&Cが来るという予測ができていたとしても、カード2枚ブロックはできないという特殊なC&Cが生まれます。

プレイ効果のバイパス

5.1.1a A player can only play cards from their hand or arsenal zones.

プレイヤーはそれぞれの手札またはアーセナルゾーンからのみカードをプレイできる。

Flesh and Blood Comprehensive Rule

ルールの詳細になりますが、入れ替えた後のカードは追放ゾーンからなので、プレイしたとみなされずプレイトリガーが発生しません。

Enlighted Strikeをプレイする追加コストとしてあなたの手札からカードを一枚デッキの下におく。

1つを選ぶ;

  • カードを一枚引く
  • Enlightened Strikeは+2[attack]を得る。
  • Enlightened Strikeはゴーアゲインを得る。
  • You must have at least one other card in your hand to pay for the additional cost at the time you play Enlightened Strike.
  • You choose the mode at the time you play Enlightened Strike.
Rules of Rathe

例としては、Englightened Strikeのカードプレイコスト、そしてモード選択ですがどちらもルール上で明白にプレイ時と記載されているためカードをデッキに戻すコストも、モード選択も発生せず5点攻撃となります。

アタック効果のバイパス

プレイ効果と同様に入れ替えるカードはアタック効果もバイパスします。

7.2.1. The Attack Step is a game state where an attack resolves and becomes attacking before any defending cards are declared.

アタックステップはゲーム状態の一種で、アタックが解決してアタック中となり、デフェンスカードが宣言される前です。

これがアタックする時、あなたのデッキの一番上のカードを公開する。これは-X{a}の補正を受ける。Xは公開したカードのピッチ数値。

Go Again

アウトサイダーズで再版されるRavenous Rabbleのテキストにはっきりと「これがアタックする時」という補正が行われているので、アタックステップの後のリアクションステップでカード入れ替えをするのでアタック効果もバイパスとなり、Ravenous Rabbleは5点攻撃となります。

裏向け追放

ウズリの効果発動テキストが、「あなたの手札からカードを裏向けで1枚追放する: そのカードを表向きにする」とあります。

「あなたの手札からカードを1枚追放する。」で良かったのでは?なぜ一度裏向きで追放して、即座に表向きにするのか?と疑問に思いました。

1.6.1b An activated-layer is a layer created by an activated ability. An activated-layer can only exist on the stack. 

Example: Energy Potion has the text “Instant – Destroy Energy Potion: Gain {r}{r}”, which is an activated ability. When this ability is activated, it creates an activated-layer on the stack with the resolution ability “Gain {r}{r}”.

5.2.1. An activated ability is an ability that can be activated to put an activated-layer on the stack. Activated abilities are always written in the format “[LIMIT?] [TYPE] — [COST]: [ABILITIES] [CONDITION?]”

5.2.1c The COST is written between the dash and colon. It specifies the cost to be paid to activate the ability. A cost of “0” specifies the resource cost to activate the ability is zero.

Flesh and Blood Comprehensive Rule v2.3.0

上の公式ルールをセクションを参考にすると以下の点がわかります。

  1. ウズリの能力発動は起動アビリティ(Activated ability)で、タイプがアタックリアクション。
  2. 起動コストとして裏返しでカードを追放
  3. 解決した時に発生する効果=解決アビリティは、”:”以降のそのカードを表向きにする…

つまり、互いの絶対優先権の発動は、カードを裏返し追放した時となります。このタイミング・コストがあることで、ウズリプレイヤーにはブラフ、相手プレイヤーには追放されたカードを予測するという駆け引きが生まれます。

例えば、相手プレイヤーは(裏返しのカードを見ながら)「Command & Conqureを入れ替えてくるに違いない。デフェンスリアクションがつかなくなるから、Sink Belowを今使おう」と言う選択が可能になります。

もし、ここでSink Belowを使わずに優先権をパスしてウズリの能力が解決して、C&Cがアタックカードとして入れ替わった場合は、既に相手はデフェンスリアクションを使用できなくなっています。ウズリ側の視点だと、相手がウズリの能力解決前にデフェンスリアクションを使用することを想定して、別のカードを追放するブラブと言う選択肢も生まれています。

もしコストが表向きで追放するカードなら、相手は実際にC&Cを見てからデフェンスリアクションを使用するかしないか判断できることになります。逆に追放が解決後に行われていたら、ウズリプレイヤーは相手のデフェンスリアクショんの使用を見てからC&Cか別のカードかを選択できることになります。つまり、裏返しのカードを追放すると言うコストがあって初めてお互いのプレイヤー同士の駆け引きが成り立っているんです。ゲームルールは奥が深い!

その他

現在公開されているステルスキーワード関連のカードは30枚です。

Stealth

これがヒーローにヒットした時、そのヒーローのデッキの一番上のカードを追放する。あなたはそれをあなたの次のターン終了時までプレイしてもよい。

相手のデッキのカードを使用するという、TCGではお馴染みですがFaBとして(おそらく)初ではないでしょうか?運の要素が非常に高いカードなので、この手のカードのオンヒット効果はギミックになりがちですが…

0コスト、オンヒットでアウトサイダーから登場する3トークンを創造するアタックアクションサイクル各色、合わせて9枚。

1コストで+3攻撃とオンヒット3トークン創造効果付与のSpikeアタックリアクションカードサイクル3枚。加えて、0コスト+3攻撃のRazor’s Edgeレッド、他にイエローとブルーがあると思われ、合わせて計6枚のアタックリアクション。

相手の防御効果をそれぞれ違う段階で妨害するIsolate、Back StabとMalign各色(合計9枚)。

Stealth

このコンバットチェーン中、あなたがプレイするStealthを持つ次のアタックは+1{a}を得る。

これも3色あると思われます。

これ自体はGo Againがないため、このカードの後に別のアタックを使用するためにはGo Againを付与する方法が必要です。

あなたの各ターン最初のStealthを持つ攻撃はGo againを持つ。

そこで、トモハッピーさんがProwlと共にプレビューしたアラクニ別バージョンの登場です。

他には、個人的にはアサシンのキーカードを持っていないのでプレイしたことがないのですが、これにはおそらくDynastyセットのレジェンダリー装備Blackteck Whispereresなどが中心となるのではないかと思います。ただ、これをなん度も使用するにはシルバーが必要になるため、シルバー生成にコントラクト付きカードを使用することになり、そのあたりのバランスがアラクニにStealthカードを入れるか?ウズリにコントラクトカードを入れるかのデッキデザインの楽しみ方になるのではないでしょうか?

Blacktop Whisperersがあなたの墓地にある間、あなたのターン開始時にあなたのコントロールするシルバーを2破壊しても良い。もしそうしたならば、Blacktek Whisperersを装備する。

Attack Reaction – Blackteck Whisperersを破壊する: 対象のアサシンアタックアクションカードは”これがヒーローにヒットした時、go againを得る”を得る。

Battleworn

感想

新セット=新キーワードはTCGでは必須と言えますが、FaBはそのゲーム特性からキーワードとヒーロー・クラスの特色を表すのに使われます。今回のステルスも、ウズリの能力をみて個人的にはしっくりきました。

ヒーローシステム、新キーワード、そしてクラス・ヒーローの世界観。FaBは毎回うまい具合にこれら実際のゲームプレイに反映してくれいて、「新鮮さを保ち続ける」「ゲームバリアンス」というTCGの大きな長所の2つを本当に絶妙に味わせてくれます。

参考