駆け足でフレッシュアンドブラッドTCGの歴史を主観を交えながら追っていきます。第2回にあたる今回は2019年12月のRoad to Auckland$10kシリーズからセット2のArcane Risingの発売とコロナの影響を含む2020年5月までです。
フレッシュアンドブラッド史上初のプロレベル構築フォーマット大会に備えて2019年12月からRoad to $10k Brydragonを皮切りに世界3ヵ国でRoad to $10kシリーズイベント(賞金なし)が行われました。
大会 | 日 | 国 | 優勝デッキヒーロー |
---|---|---|---|
Baydragon | 2019年12月8日 | ニュージーランド | ブラボー |
Merchant Westcity | 2019年12月14日 | ニュージーランド | ブラボー |
Next Level Games Dandenong | 2019年12月15日 | オーストラリア | ドリンシア |
Cerberus Games | 2019年12月21日 | ニュージーランド | カツ |
The Game Cube | 2019年12月28日 | オーストラリア | ドリンシア |
AK Games Centre | 2019年12月29日 | マレーシア | ドリンシア |
General Games Frankston | 2020年1月4日 | オーストラリア | ドリンシア |
Valkyrie Games | 2020年1月5日 | ニュージーランド | ドリンシア |
Classroom Cafeteria | 2020年1月11日 | マレーシア | カツ |
MightyApe | 2020年1月12日 | ニュージーランド | ブラボー |
Vagabonds | 2020年1月26日 | ニュージーランド | ドリンシア |
Hobbymaster Event Centre | 2020年2月1日 | ニュージーランド | カツ |
優勝回数を見るとドリンシアが6回、カツとブラボーが3回ずつ。ライナー以外は初期段階としては理想的なメタ環境だったのではないでしょうか。
2020年2月8日ついに、LSS本社のあるニュージーランドのオークランドでフレッシュアンドブラッド初の賞金総額1万ドルの公式・クラシック構築フォーマット大会「ザ・コーリング・$10kオークランド」が開催されました。
優勝は忍者クラスヒーローのカツデッキ。しかし、注目する点はこのデッキのプレイスタイル。
カツの基本プレイスタイルは個々の攻撃力は弱くともそれを手数で補う質より量・幅を使った、ワイドな攻撃型アグロデッキ。その代償に忍者カードの多くは平均の3点防御より下の2点。イメージとしては俊敏さを生かした手数の攻撃を得意とするも、打たれ弱くスタミナにも問題を抱えているという感じ。しかし、この大会で優勝したカツデッキはコントロール型デッキ。
これは実際の大会参加者にも衝撃を与えたようです。トップ8のうち3人のプレイヤーがコメントで今大会で最も驚いた点は?でこの優勝者のコントロール忍者デッキをあげていました1。
1. Top 8 Profiles
もしUnmovableがアーセナルからプレイされた場合、+1の[Defence]を得る。
優勝デッキには防護に特化した不動を3色全て3枚の合計9枚積み。ただ優勝者のサーシャ・マルコビッチがMVPカードとして挙げたのは現在は既に「禁止カード」になってしまっているDrone of Brutality(残忍なうねり)。
もしDrone of Brutalityが墓地に置かれる時、かわりにデッキの一番下に戻す。
再帰系カードですね。TCGには欠かせないカードの種類ですが、ゲームデザイナー観点から見るとゲームバランスを崩してしまうリスクの非常に高い能力の一つだそうです。結局、FaBでもこれは例外ではなかったようでこの大会から約1年後にFaB史上最初の禁止カードになりました1,2。
1. Banned and Restricted Announcement
2. Drone of Brutality Banned! – Inside Flesh and Blood’s First Banned Card
筆者がFABの存在を知ったのは偶然にも見たチームコビナントのYoutubeチャンネルからでした。
チームコビナントはアメリカ・アーカンソー州にあるカードゲームショップです。オンラインショップもあり、ショップで取り扱う商品の宣伝を実際にゲームをプレイしながら行っています。彼らは主流のゲームには何故か興味がなかったようで小さい頃からマジック・ザ・ギャザリング以外のカードゲームで遊んでいたそうですが、当時はマジック以外のプレイヤーの居場所はゲームショップではあまりなかったようです。それが今でも続いていて、彼らはそんなプレイヤー達のためにと自分達でゲームショップを始めました。実際彼らのサイトを見るとポケモンTCG以外はマイナーなゲームばかりです。
加えて彼らがFABを紹介した当時は、彼らは基本的にはTCGに反対だったようです。彼らは当時LCG(Living Card Game)が理想のカードゲームモデルと考えていました。LCGはトレカのように定期的にカードプールが増えていくのに、値段はトレカよりもはるかに安いというもの。方法は単純にランダムなブースターパックは使用せずに中身が定まっている拡張パックを定額で販売することによって、欲しいカードがあれば決まった額(定価)で購入できるというもの。
しかしそんな最中、彼らはFABを試すことになりました。
筆者は彼らのプレイビデオをバックグランドに見続けるうちにFABに興味が湧きました。彼らが実際に少しずつFABへの興味を膨らませ、本当に楽しく遊んでいるのが伝わりました。当時彼らのショップにFABの製品が入るたびに次から次に、彼らの想像を超えるスピードで売り切れが続いていたようです。
2022年7月現在、彼らのYoutubeチャンネルで最も多くアップロードされているビデオはFABについてです。しかも、チームコビナントの社長・Youtubeチャンネルのホストの一人はプロツアーにも参加しています。
セット1のWTRから4ヶ月、セット2「Arcane Rising」(ARC)の情報公開が始まり、そこから1ヶ月後ぐらいの2022年3月22日に発売されました。
ARCカードスポイラー(カードネタバレ)以前に公開された問答でFABの生みの親、ジェームス・ホワイト氏は以下のように回答しています。
Q)「アーケイン」。魔法と魔術師。どういうことですか?
ジェームス: 私はとにかくファンタジーのファンです。魔法がないファンタージはありえないでしょう?
WTR(セット1)ではまずFAB特有コンバットの枠組みを紹介しました…これは、いわゆるゲームの基礎をみなさんに学んでもらうためです。
しかし、これは最初からその枠組みを使って色々築き上げいくように設計されています。WTRだけでは不完全だったものが、ARCが加わることで真のFABのゲームを体験できるようになります。
Q)WTRに魔法要素を入れなかったのはかなりのリスクだったのでは?
ジェームス: 常に驚きと向上があることはいいことで、それはFABの進化につながっています。私はプレイヤーにとってFABは何年も何年も楽しめ続けられるものにしたいと思っています。ARCのアーケインと魔法は必ず多くのプレイヤーを驚かせそして喜ばせられるはずです。そしてそれはこれからの全セットで同じです。
Q)ARCのヒーローをデザインする際にWTRのヒーローはどのように意識しましたか?
ジェームス: 我々は毎年製品の販売に備えて多くのヒーローを開発して、その中から7体のヒーローに焦点を当て同時に開発を進行していきます。この数字は一見変な数字に思えますが実はちゃんとした理由があります。
4体のコアとなる近接攻撃型ヒーローは必ず入れると決めていました。そしてこれらのヒーローはWTRで登場させました。そして数体のキャスター(遠隔攻撃型)ヒーローはARCで登場します。最後のクラスは少し謎めいていて、近接型でも遠隔攻撃型でもありません。
最後のヒーローは世界観設定とゲーム構造の面で他の3体のヒーローとしっかり噛み合っていて素晴らしいドラフトとシールド環境が体験できるようになっています。
Q) 複雑さの観点から見た時、ARCではかなり上がっていますか?
ジェームス: そんなに単純じゃないですね。私はARCは完成したゲーム体験をプレイヤーに与えることができると思っています。接近戦、魔法そして…全てを体験することができます。単純化されていない完璧なFABを体験できます。
FABの開発には7年かけていて、ゲームシステムが成長するに連れて複雑さが指数関数的に増すことのないように設計しています。つまりシンプルなのにエレガント、そして何よりも楽しく遊べ続けるようにしています。
逆にARCの方がWTRよりも直感的に遊べると思います。特に、今はプレイヤー達がゲームの基礎について理解を深め始めているので。
我々は最終的にはプレイヤーに幅広い選択と戦略を与えたいと思っています。新しくてエキサイティングなプレイを… 複雑さや専門性に邪魔されずに。
Q) 魔法と呪文以外にARCとWTRの大きな差はなんですか?
ジェームス: ゲームのペースが二つのセットが合わさることでより早く、より流動的になります。
ARCは遥かにアグロよりのフォーマットです。WTRでは消耗戦を中心とした2クラスがいましたが、これからはどのクラスにもその戦略を展開することが可能になります。
ARCでは防御系カードがグッと減り、よりたくさんの積極的なカードを、これまでとは違った、新しいアグロ戦略とゴーアゲインを。たくさんのゴーアゲイン、何度も手札を使い切る機会とアクション満載のエキサイティングなターンがあります。
Q)防衛重視の戦略はこれからもプレイ可能ですか?
ジェームス: ゲーム開発者としてデッキがアグロ、コントロール、コンボやミッドレンジなどに分類されることは承知しています。もちろん全て存在し続けます。ただ、特にリミテッド環境ではARCはアグロ寄りになっています。
Q) WTRのヒーローはARCのヒーローと対戦した時どうですか?
ジェームス: 非常によくバランスが取れています。2つのグループのヒーローは同時進行で開発されているので、開発チームは8体のヒーロー間でのプレイは数年越しの期間で何千回もプレイし続けています。構築フォーマット環境では8体のヒーローは非常によくバランスが取れていること知っています。
Q) ARCではプレイヤーのスキル上限値を上げることになりますか?つまり、トッププレイヤー達がこれまで以上にできることが増えるかということ。
ジェームス: ええ。大幅に広がります。より多くの選択、既存の戦略にこれまでとは違う方法で対処できるようになったり色々です。
デッキ構築にこれまでとは違った考え方が必要になります。これはARCで登場するヒーローだけに限らずWTRのヒーロでも同様です。
Q)以降のセットでも同様と考えてもいいですか?
ジェームス:はい。新たなセットでは既存のヒーローに新しいツールが加わっていきます。時には既存のヒーローは思い切った進化を余儀なくされることも、時には微調整の時も。
これは(新たに追加される)一般カードによる影響もあれば、新規で追加されるクラスがゲーム内にもたらす根本から戦略によるものも。多くのセットは過去のセットとの相互作用があり興味深い新しい戦略をつくります。
Q) WTRと比べてARCはより面白くなっていると思いますか?
ジェームス: エーテルによる魔法攻撃がツボにはまるなら、その通りと断言できます。
FABの醍醐味はあなた自身ががそのヒーローであるように感じるられることです。私は個人的にキャスターであるメイジやウィザードの大ファンで、それが私にとってのツボです。私は子供の頃からこの種のキャラクターを演じるのが大好きで、いつも肉体的に弱いが偉業をなすために卓越した精神力と異世界の力を使うキャスターに惹かれてきました。
だからそんな私にとっては(ARCのテーマ)は本当に私を興奮させ、私たちはそれをウィザード(および他クラス)でのゲームプレイ体験に上手く翻訳できたと思います。私はこれこそがこのセットの重要点だと思います。ARCヒーローになりきった時、それぞれ非常に異なるゲーム体験が得られます。
Q) ARCでは新ルールは追加されますか?これまでのルールへの変更は?
ジェームス: ARCで既存のルールへの変更はありませんが、これまでにない方法で既存のルールの枠内で影響を与える方法が導入されます。これは、人々が既にゲームについて知っていることを拡張するということです。ゲームの基本は変わりません。このゲームは、リソースを得るためにカードをピッチして、カードを使用するためにアクションポイントを使うことです。それについては何も変わりません。
しかし、カード間での相互作用に関して言えば、新しい相互作用と新しいカード効果が追加されます。プレイヤーはARCでゲームをプレイするために新しいことを学ぶ必要はなく、ただカードを読んで、異なるカードの効果が互いにどのように相互作用するかを学ぶだけです。
Q)ここまでキャスターとウィザードについて何度も触れていますが、あなたによってのウィザード(魔道士)ってなんですか?
ジェームス: 今後Rathe(ラス)の世界での魔法のシステムを説明するのに素晴らしいコンテンツが用意されていますが、ラスにはさまざまな種類の魔法使いがいて、彼らはエーテルと呼ばれる魔法の力の源から引き出します。そして、このエーテルの力を使ったさまざまな魔法の専門分野が存在します。
質問の答えですが…私にとって、魔法使いは手と手の戦闘に従事していない人です、彼らは丘の上に立って、遠くから相手に魔法のエーテル・ボルトを放つ人です。彼らは肉体的には弱いが、精神的には強く。私にとって、そんな存在こそ魔法使いです – 彼らは対戦相手を克服するために知性を使います。
Q) 接近戦型ヒーローもウィザードヒーローもどちらもカードを使って、相手を攻撃するわけですが、それが全く違うゲーム体験になるというのは信じ難いのですが…いったいどうやって?
ジェームス: 鍵はウィザードはコンバットチェーンに頼らないということです。
Q) ARCの発売がWTRのカードにもたらすものは?
ジェームス: WTRには、現在よりもはるかに使えるようになるカードも、優勢性を失うカードもあります。
少しネタバレになりますが、WTRの一般カードのいくつかはARCデッキで重要になり、その逆も同様です。ARC一般カードはWTRヒーローに重要な新しい戦略を提供します。
Q) 今後のヒーローとメカニックスについては、ファン同士の間でいくつかの理論が上がっていますがそれについてはどう思われますか?
ジェームス: 私はファンの理論がインターネット上で流通しているのを見るのが大好きです。
人々の(FABに対する)情熱がとてもうれしいです。そして、中にはいくつかの素晴らしい理論と概念がでています…プレビューシーズンが始まった時、何人かの人々は非常に賢かったと感じると思います。
Arcane Rising Q&Aより
筆者は最初から順を追って始めるのが好きな性格なので、最初はWTRセットを中心にカード集めを始めました。WTRのブースターボックスを7箱開け終えたので、ARCにも手を出し始めました。
確かにWTRの接近戦型ヒーロー4体をを見た後に、始めてARCのヒーローとカードを見た時はかなりテンションが上がりました。TCGの醍醐味の一つは定期的な新セット発売から得られる「常に新鮮な気持ちで遊べる」ゲームだと思います。
こうした観点から見ると、あえてWTRで魔法攻撃のヒーローを入れなかったのは大正解だと感じました。ただ、ゲームも会社もブランド力が全くない新規TCGでゲームのコアとなる部分を小出しにすることはかなりのリスクだったのではないでしょうか?もし、最初のセットでファンがゲームに不完全さを感じてファン基盤を築けていなかったら、ネットで悪評が広がり後のセットで取り返すのは不可能になっていた可能性も。
「魔法(アーケイン)」登場
基本的にゲームの世界観はファンタジー系とサイエンスフィクション系に別れると思いますがFABはファンタジー系です。
「魔法のないファンタジーはありえない!!」きっとセット1からFABを始めていたプレイヤー達は当時そう思っていたことでしょう。セット1が物理攻撃を中心に戦うヒーロー達だったのに対してARCでは魔法攻撃が登場しました。
5点のアーケインダメージを対象のヒーローに与える。
FABの世界ではARCセットから追加された新攻撃タイプ「アーケイン」と称されていて、アーケイン攻撃に対しては通常のカード右下の数値を使ったブロック方法は通用しません。
アーケインバリアー 1
そこで登場したのが対アーケイン攻撃防御の専用新キーワード「アーケンバリアー」です。
ゲームの世界観的にはアーケインは「精神・意志の力」とされていて、魔法などの攻撃はアーケイン攻撃。そこでアーケイン攻撃から身を守るにはこれまでのようにカードの右下の物理的防御を使用するのではなく、アーケインバリアーというリソース(エネルギー)を防御に変換する装備品を使用するというテーマに沿ったゲーム構造。
各アーケンバリアーは一つのダメージ元に対して1度のみ使用可能なので、FABらしい戦略的決断を迫られるゲーム構造になっています。例えば上記のノルルーンの頭巾ではボルティックボルトによる5点のアーケインダメージは1点分しか防ぐことができません。もしより多くのアーケインダメージを防ぎたかったら、ゲーム開始時に他のノルルーンシリーズを装備してそれぞれを発動させることになります。
対して、同じ合計5点のアーケンダメージでも、もしそれぞれが別のカードからの攻撃ならノルルーンの頭巾1つを5回発動させればいいので、他の装備部位は他の効果を持ったカードに費やすことができます。
ARCでは4体の新たなヒーローが追加されました。それぞれのヒーローデッキ内容は公式に公開1されていますが、WTRセットとは違い構築済みデッキとしての販売はありませんでした。ブースターパックで開封したカードで独自のデッキを作るための参考として公開されたものと思われます。また、おそらく当時のカードの需要と供給のバランスも影響していたのかもしれません。
1. Arcane Rising Hero Decks
ダッシュ、非凡な発明家
「アイテムによる場づくりヒーロー」
参考: Building the City Tomorrow | 公式ダッシュヒーローデッキ
コスト2[resource]以下のメカノロジストアイテムを場に出した状態でゲームを開始してもよい。
ファンタジー世界観を損なわずに、蒸気を用いたテクノロジーで作られた色々な道具を中心に戦うヒーローが登場です。
アクション – テクロプラズマピストルからスチームカウンターを1つとる: 攻撃
アクション – [resource]: もしテクロプラズマピストルにスチームカウンターがなければ、1つのスチームカウンターを置く。ゴーアゲイン
一見細かいようですがテクノロジストの武器一つをとってもFABのゲームデザインのこだわりが伺えます。ゲーム世界観的には蒸気の弾を込めて、それを打ち出す銃。ただこれらを1つのアクションとリソースで行うのではなくあえて弾を込めるアクションと打ち出すアクションを分けることで戦略的に余ったリソースで弾をこめて次のターンに発射といった細かい戦略的微調整が可能になったり、弾をこめるのはリソースさえ払えばいいものの、銃を撃てばプラズマピストル自体にはゴーアゲインがないので、連続射撃には別のカードを使ったセットアップが必要になります。
基本戦略
ダッシュは1ターンに複数のカードをプレイし、ピストル攻撃かアイテム設置でターンを終える目指しています。ブーストメカニックがゴーアゲインを可能にします。複数回攻撃できるように、リソース生成を手助けする様々なアイテム、デッキの一番上のカードがブーストに使用したいものであることを確認するのに役立つさまざまなアイテム、または手札からの防御を減らすための防御アイテムがあります。
Arcane Rising Hero Decks
ハイパードライバーは3点のスチームカウンターが置かれた状態でアリーナに出る。ハイパードライバーにスチームカウンターがなくなった時、これを破壊する。
各ターン1回限定効果 – あなたがカードをブーストした時、ハイパードライバーからスチームカウンターを1点取り除き、1[resource]を得る。
散逸の盾が場に出た時4点のスチームカウンターをこれに置く。
あなたのアクションフェーズ開始時にもしスチームカウンターを1点取り除かないなら散逸の盾を破壊する。
インスタント – 散逸の盾を破壊する: あなたのヒーローがこのターン中次にダメージを受ける時、X点分のダメージを無効化する。Xは散逸の盾に置かれているスチームカウンターと同じ。
光学単眼鏡は5点のスチームカウンターを置いた状態でアリーナに出る。光学単眼鏡にスチームカウンターがなくなった時、これを破壊する。
アクション – 光学単眼鏡からスチームカウンターを1点減らす。選択1。ゴーアゲイン
WTRセットでも「オーラ」やポーションアイテムカードなど後のターンに力を蓄える系統のカードは存在したものの、それぞれ1回使用で「場を作る」という概念とは少し違うと感じていました。しかし、ARCセットで新登場したメカノロジストはアイテムを場に配置しながら「場を作っていく」戦略を用するクラスです。
イメージとしては敵前で色々なアイテムを設置・組み立てながら相手と戦っていくヒーローですね。
ブースト
メカノロジスト専用の新キーワード・ブーストはカードを使用する際にデッキの1番上のカードを追放。もしそれがメカノロジストのカードならゴーアゲインを得るというもの。
イメージとしては他のメカノロジストカードを燃料にして攻撃を加速させることができるが、使いすぎるとあっというまにガス欠(デッキが空)になってしまうというもの。
最高速度はあなたがこのターン中3回以上ブーストした時のみプレイできる。
もちろん、ブースト効果とのシナジーを持ったカードをも登場しました。
カノ、エーテルのドラカイ
「我々のターン」
参考: Master of Arcane | Kano Dracai of Aether | 公式カノヒーロデッキ
インスタント-3[resources]あなたのデッキの一番上のカードをみる。もし、それが非アタックアクションカードなら、それを追放してもよい。もしそうしたならば、あなたはそれをこのターン中インスタントとしてプレイしてもよい。
基本戦略
カノはアーケインダメージを使って相手を倒します。相手のターン中、相手の防御が落ちているとき、カノはヒーロー能力を使用することができます。相手の手札がほとんどまたは全くない時、ダメージを防ぐことがほぼ不可能になるため、この瞬間を狙ってダメージを与えるようにしてください。「エーテルの風を混ぜる」などのカードを使用して、防ぐのが難しい大量のダメージを与えることができます。
Arcane Rising Hero Decks
このターン中、次のウィザード非アッタクアクションカードをインスタントとしてプレイしてもよい。そしてもしそのカードがアーケインダメージを与えるなら、代わりにその効果に3点のアーケインダメージを加える。
カノはFAB史上最初のウィザードクラスで、相手のターンでも攻撃が可能なヒーローです。相手のターンにも攻撃が可能となると対戦相手もこれまでになかった決断を迫られることになります。
例えばこれまでは基本的なゲーム戦略としては、自分のターンで手札を使い切ってターン終了時にインテレクト分(4枚)のカードをデッキからひくのが理想的とされていました。
しかし、アーケインダメージを防ぐにはリソースが必要になりカノは自分のターンでも攻撃をしてくるので、これまで通り自分のターンで全てのカードを使用するとその瞬間相手が攻撃してきたらこちらは防御のしようがなく全ての攻撃を受けることになります。これがもし体力が減った状態なら相手の攻撃警戒して、自分のターン中に手札を使い切ることが難しくなってきます。
エーテル織の坩堝(るつぼ)
各ターン1回限定インスタント – [resource]:このターン中にあなたが次にプレイするアーケインダメージを与えるカードはその効果に更に1点のアーケインダメージを加える。
二見のライトニング
対象のヒーローに2点のアーケインダメージを与える。
対象のヒーローに2点のアーケインダメージを与える。
意図的シナジーの例だとウィザードの武器である坩堝と二見のライトニングでアーケンダメージを+2がチャンネルファイヤーボールのYoutubeでは紹介されています。
アゼリア、穴の中のエース
「アーセナルスロットの真・解放」
参考: Silent as the Grave | 公式アゼリアヒーローデッキ
各ターン1アクション限定 – 0: あなたのアーセナルからカードを1枚デッキの1番下に戻す。もしそうしたならば、デッキの一番上のカードを表向けにアーセナルに置く。もしそれが矢のカードならば、それはターン終了時まで支配をえる。ゴーアゲイン
基本戦略
アゼリアは1本の強烈な矢を発射することを目指しています。あなたの次の攻撃をより強化するカード達はアゼリアの「支配」を与えるヒーロー能力と完璧にマッチします。「選択」を使用して、デッキの一番上が望み通りの矢カードであることを確認しながら、相手を1本の矢で倒します。
Arcane Rising Hero Decks
もちろんWTRでもアーセナルからプレイすることによって特別な効果を発動するカードも数枚ありましたが、FAB初のレンジャークラスのアゼリアはアーセナルスロットの新しい使い方・可能性を見せてくれました。
各ターン1アクション限定 – [resource]: もしあなたのアーセナルにカードがなければ、あなたは1枚の矢カードを手札から表向きにアーセナルに配置しても良い。もしそうしたならば、カードを一枚引く。ゴーアゲイン
レンジャーは弓矢使いですが、矢を弓に設置して、狙いを定めて攻撃するとという動作を絶妙に表向きにアーセナルに矢カードを設置するというゲーム構造で表しています。
もし灼熱弾がヒーローにあたったならば、それは1点の体力を失う。
アーセナルの位置がヒーローの手前にあることも(弓を引いた感じ)、直接手札からカードをプレイするのに比べて1ステップ余分にかかることも(弓矢が剣などに比べると動作が遅い感じ)、矢を1度に基本一枚しか設置できないということも全て弓矢を使用しているという感覚が分かりやすくデザインされていると思いました。とはいえ、筆者自身はまだレンジャーを使用したことはありません。
ゲーム構造としては面白いものの、大会レベルで見るとアゼリアは今のところリビングレジェンドポイント獲得数1がクラシック構築でもブリッツでも0とどのトーナメントにも一度も優勝したことがないという悲しい事実が…
1. Living Legend
ビセライ、ルーンブラッド
「魔法剣士・魅せる可能性」
参考: The First Arknight | 公式ビセライヒーローデッキ
あなたがルーンブレードのカードをプレイする度、もしこのターン中に他の非アッタクカードをプレイしていたなら、ルーンチャントトークンを一枚創造する。
あなたがアタックアクションカードまたは武器で攻撃を行った時、ルーンチャントを破壊して対象の相手ヒーローに1点のアーケインダメージを与える。
基本戦略
ビセライは、攻撃アクションと非攻撃アクションの両方を組み合わせて、近接ダメージとアーケインダメージの両方をマスターしています。ハイペースでもローペースでも、毎ターン積極的に攻撃したり、ルーンチャントを溜めて大きなワンターンを行ったり。このデッキは、強力な非攻撃アクションを利用して、ルーンチャントを作成し、近接ダメージとアーケインダメージの両方に広がる攻撃の可能性を増やしていきます。
Arcane Rising Hero Decks
イメージとしては魔法も剣も別々に両方使えるというよりも、呪文を付加した剣を使って戦う魔法剣士ですね。
ビセライの能力以外にもルーンチャントを作成するカードは複数あります。
アークナイトを増幅のコストははあなたの指揮下にあるルーン詠唱ひとつにつき1[resource]減少する。
ルーンチャントをリソースとして使うカードもあります。
当時は2020年2月から開始の予定だった公式世界大会に向けての道のりにあたるイベント「ロード・トゥ・ナショナルシリーズ」(ナショナルへの道のり)はコロナの影響で各国のロックダウンが始まり、あえてデジタル流行に反して対面専用として作られたFABにとってはゲームをプレイできる環境が突如失われてしまい、ゲームショップでのイベント開催は当時期間不透明な状況で引き伸ばしが発表1。
2020年4月9日
ARC発売から2週間弱の早い段階でFABはLSS公認・非公式のテーブルトップシミュレーター(TTS)を使ってのプレイが可能になり、当時は一時期応急処置としてTTSを使ったオンライン公式ロード・トゥ・ナショナルズ大会を開くことを発表2。しかし、間も無くしてTTS環境の問題点が発覚して公式大会用には使用不可能と判断されオンライン版ロード・トゥ・ナショナルズは結局幻に終わりました3。
1. Open letter to the FAB Community
2. Road to Nationals (Online) This Weekend!
3. Road to Nationals online event cancelled
2020年6月18日
対面プレイが難しくなったコロナ騒動の最中、打開策としてLSSは「どこでもプレイ」をキャッチフレーズにGame & Event Management (GEM)ソフトウェアを公開しました1。GEM2はオンラインでトーナメントの勝敗を公式に記録できるプラットフォームで、ゲームショップ主催だけではなく自宅で友達と集まって自分でホストも可能のようです。
⚠︎ただしプレイ・エニーウェアーではXP(経験値)は得られません。
1. Introducing “Play Anywhere”!
2. G.E.M
ブランド名にも頼らず苦境を乗り越えたこの事実こそFABというゲームの可能性の証明ではないかと筆者は考えています。
今のフレッシュアンドブラッドTCGがあるのは早い段階から技術力のあるコミュニティメンバーの注目を引けたことも重要点だっと思われます。今ではFABプレイヤーで知らない人はいないであろう、非公式FAB専用データベースサイトのfabdb.netは各カードの検索に加えて数は無制限でデッキを作成可能。TTSなどのオンラインシミュレーターもデッキはfabdbで構築したものをリンクから取り込む形式を採用しています。
公式ヒーローデッキを見ても、公式サイトで見るよりもfabdb.netでみた方がカードの内容などマウスオーバーで見られるのでUI面でもfabdb.netの圧勝です。
参考: Community Watch – fabdb.net
コロナの最中、なんとか当時ロックダウンを免れた台湾はUS$100賞金の対面トーナメントを開催。台湾FAB上陸からわずか3ヶ月弱での開催でした。結果は21人の参加者。優勝はカツの忍者デッキ。
プロトーナメントはパンデミックの影響で延期が続きます。