【Drakerion TCG】プレイスタイル “自主性が生み出す光と闇”

Drakerionに対する第1印象の中で不安要素だったのが、プレイ感覚としてどこまでプレイしていて違うと思えるタイプのデッキが存在するのかという「プレイスタイルの種類数=バリアンス」でした。ここまで12戦ほど体験して確信したのが、このゲームにはこれまでTCGとしては経験したことのない2段階のレベルでプレイスタイルが存在しているということです。今回は、この辺について一人で熱く語って見ます。

プレイスタイルとは?

今回Drakerionをプレイしていくことで、TCGで遊んだ時に感じる違うゲームで遊んでいるような感覚=プレイスタイルには2種類の因子があると思いました。

一つ目は、一般的に認識されているデッキ自体が生み出すプレイスタイル、デッキアーキタイプです。そしてもう一つが、プレイヤー自身が自分の操作方法によって生み出すプレイスタイルです。これは他のゲーム概念と結びつけると、戦略と戦術に繋がると思いました。

デッキによるプレイスタイルが、戦略的プレイスタイル。そして、プレイヤーのプレイが生み出すプレイスタイルが戦術プレイスタイル。

戦略プレイスタイル

これは単純にデッキアーキタイプのことです。

ドラケリオンでは、Flesh and Bloodのようにカードプール隔離を行っています。これにより、ゲーム開発者が、意図的に各キングダムに特有の戦略プレイスタイルを作り出すことができます。

現在公開されているスターターデッキ5種から筆者が感じた各色のプレイスタイルは以下の通りです。

アーキタイプメカニックス
Lokmarアグロ個々の火力よりも数での火力。捨て札をトリガーとするメカニクス。
Wastelandミッドレンジ個々が高ライフキャラ、現在このキングダム限定のキャラ回復も。
Tylaslinギミック個々の火力、装備ボーナス、戦闘時のキャラ入れ替えトリックなど。
Kartjeコンボ墓地復活、ターンが増えるほど火力を増やすカードなど。
Gil Estelテンポ攻撃キャンセルからの連続アクションやドローエンジンなど

ロックマーはアグロ系デッキです。

量よりも質で攻めて、カードの中には1回ダメージを与えてそのまま墓地こそが正しい使い方のカードもあります。

また、プライムレギオン所属の特殊構造としてカードを捨てることをトリガーとするカードが複数あります。

ウェイストランドデッキのドワーフは個々が高いライフ値を持っています。

また、このデッキには数種類の遠距離攻撃持ちキャラがいます。他のスターターデッキには多くて1種しかも、条件付き1点攻撃です。

よって、個人的にウェイストランドスターターデッキはミッドレンジと判別します。

このゲームで遠距離攻撃は相手からの反撃を受けないという強みがあるので、個々の攻撃力が低かったとしても相手が答えを持ち合わせていなければレンジアタッカーで試合を詰めにされるので、間違いなく「脅威」扱いです。

また、このデッキには現在このデッキ限定のキャラ回復イベントカードも存在しています。

ティラスリンは上を見るとウェイストランドに匹敵する高火力キャラを持ち合わせていますが、中級キャラが少ない・弱くなっています。

このデッキはおそらく、字名持ちのキャラを中心に残りのカードはサポートとして使用するものだと思われます。

例えば、付属品をつけたり、他のキャラで字名キャラの盤面耐久時間を伸ばしたり。

また、毎回自分がプレイしても相手がプレイしても、このデッキは比較的他のデッキに比べて早く手札が尽きます。よって、このデッキは短期決戦を望むタイプのデッキと判断。

全てを合わせると、脅威・テンポ・必要の3点なのでギミックアーキタイプとなります。

カータジェは、コンボアーキタイプです。Unexpected Exhumationはどのラインにいる相手のキャラも攻撃できます。しかも、5ターン目以降に使用するとUnexpected Exhumationで攻撃させたキャラがレディー状態に戻りもう1度そのターン攻撃ができるようになります。もし、手札に1枚Unexpected Exhumationを用意しておけばNekrosをプレイした1ターンで15点攻撃を5ゴールドから打ち出す計算に。これが更に後のターンだと21点攻撃なんてことも。完全にコンボ攻撃です。

最後に追加された5つ目のスターターデッキ・ギルエステルは魔導士キングダムからです。

コントロール系のカードがこれからもどんどん出ると思いますが、スターターデッキだと単体で攻撃力の高いキャラと、マイナータイムワープなどの妨害カードもあるので、妨害アグロ=テンポアーキタイプという位置付けだと思います。

戦術プレイスタイル

今回、ドラケリオンで気付かされたのがこの戦術プレイスタイルという概念です。名前は、筆者が勝手につけました。

ただ、もともとこの概念自体はマジックザギャザリングの伝説サイト・ザ道場の「Who’s the beatdown?」による攻撃側と受け側の概念と繋がると個人的には認識しています。

ただ、これまで筆者がプレイしてきたゲームだとデッキアーキタイプの色が濃く出るため、それ以外の方法でのプレイがルール上実質ほぼ不可能だったり、例え可能だとしても、別の方法でプレイすると明らかにデッキが空回りしてしまい選択肢として自然と消去されていたと思います。

これが、もしミラーマッチのように否が応でも通常のスタイルと変えなくてはいけない状況に置かれた場合、あえて攻め手に回るか受け手に回るかの2択に近い状況を判断するのが、Who’s the beatdown?における筆者が「役割」と呼ぶ概念でした。

しかし、ドラケリオンではいい意味でも悪い意味でも戦術プレイスタイルが戦略プレイスタイル並みにパターンを要しています。良くも悪くも、このゲームはプレイヤーにこれまでにない「自主性」を与えていると思います。

要するに、全てのデッキでアグロ、コントロール、ミッドレンジ、コンボなどのようなプレイが可能と思われます。もちろん、デッキの構造と真逆だったり対戦相手との相性を間違えてプレイすれば「空回り」することも十分あります。ただし、自分が決めた方法でプレイしてそのプレイがそれぞれ特有のプレイスタイル感覚を生み出せるか?という点だけ見ると答えはイエスです。

筆者が考える一般的なアーキタイプを、ドラケリオンのプレイヤー操作のみで表すプレイスタイルとして説明してみます。

アグロプレイとしては、単純にプレイヤーはひたすら攻撃。キャラがいなくなれば新しいキャラを出して、再び攻撃。相手は、減っていくキャラを埋めるために新しいキャラを出したり無駄にキャラがやられないように攻撃させて自滅させていくことなります。このテンポで行くと自然とお互い盤面にキャラが少数しかいない状態でゲームが進行していきます。

コントロールプレイの方法の1例としては、アグロとは逆に基本的にこちらかは攻撃を仕掛けない。相手から攻撃をさせていきます。相手がこちらが現在盤面に出しているキャラを攻撃。表現価値的には無駄となる、例えば5点攻撃のキャラで1点ライフのキャラなどに対してオーバーアタックをさせていきます。そして、必要に応じでギリギリのところで新しいキャラを出して同じようにゲームを進行。相手の攻撃がついたところで、温存しておいたゴールドで高火力キャラなどを召喚。相手はこの時点でパスしかできなくなっていたら、あとはこちらは残ったキャラで連続アクションを行います。

コンボは、例えデッキにコンボカードと呼べるカードがなくても、このゲームではゴールドも手札も以降のターンに持ち越せます。よって、必要最低限にゴールドやカードの使用を抑えて序盤のターンをのりきり、相手に差をつけてゴールドと手札を溜めていきます。十分に貯まったところで一気にそのターン超攻撃。まさに自分自身が作り出したコンボターンです。

ミッドレンジやテンポは、もともとその性質からバランスよく攻撃と防御を入れ替えるスタイルです。つまり、どちらも根本は個々のカードを最大限に活かしてプレイしようとするスタイルだと思います。

これらのプレイスタイルが戦術として行えるということは、ターン毎にプレイスタイルを変えることも可能ということにもなります。もちろん、それがプレイ方法として正しいかどうかは不明ですが…

ちなみに、それぞれのプレイスタイルは各アクションだけに限らずゲーム開始時の陣形を決める段階から始まってます。このあたりも深いですね。メタ環境などが整ってきたら、相手の陣形配備を見て相手の戦術プレイスタイルが予測できるなんてことも。

とにかく、どのデッキでも色々なプレイスタイルができるというのはTCGとしては新しい可能性と感じました。

ただし、高すぎる自主性とミッドレンジとテンポプレイの存在が、逆に短所となっている部分もあるのではないかと思いました。

特に、自分も含めてゲームを始めたばかりのプレイヤーは、単体のカードを見てそれぞれの表現価値を上げようと計算してプレイすることになります。決して戦略的にも戦術的にもこれが間違っているというわけではなく、もしかしたらこれこそがこのゲームにおける最高をプレイ方法なのかもしれません。しかし、お互いのプレイヤーがこの方法でプレイすると、結果的にどのデッキを使っていても互いに「小競り合い」の感覚になってしまっているのではないかと思われます。

自主性には責任が問われます。小競り合いを好まないなら、あえて自分で意識してアグロ戦術や、コントロール戦術などに切り替えてみるのも手かもしれません。実際、筆者は3戦目あたりからたまに意識して戦術を決めてプレイするようになり、そうなるとゲームの面白さが格段にました気がしました。

まとめ

現在のところスターターデッキしかなく、対戦数も低く実際に筆者自身はここで書いたほど深く考えてプレイできていません。実際、コンボ戦術は試したことがないし、本日の試合で勝利したのも後々考えたらアグロっぽくプレイしている気もしたけど結果的にコントロール戦術だった気が…というような程度の感覚です。

正直、今回この記事を書き始めて思考法を少しだけ整理できた気分になっています。ただ、このゲームの実際のプレイが持つ自主性自体は事実です。

最終的に鍵となるのは当たり前ですが、ゲームのバランスです。理想的なのは、デッキの戦略プレイスタイルとプレイヤーの戦術プレイスタイルが一致した時に、個々のデッキが最大の能力を発揮させることができ、相手のデッキとの相性によって時には戦術プレイスタイルを変更させられることがより高いスキルを持つプレイヤーの必須条件というようなバランスになっていれば、もの凄いゲームだと言えます。

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