【FAB・理論】カードデザイン価値・ ノン・アタックカード編

フレッシュアンドブラッド流の思考脳力を身につけよう・養おう!前回に引き続きデザイナー観点からみたカードバリュー・総合価値を今回はアタックアクションカード以外のカードで考察してきます。

カードバリューとは?

ここでいう「カードバリュー」はカードの金銭的な価値ではなく、各カードのテキスト効果なども含めて数値的に表したカードの価値です。

カードバリューは2種類に分けて考えられます。1つ目はデザイナー観点から見た、カードTotal Value(総合価値)。もう一つは、プレイヤー観点から考察するExpressed Value(表現価値)です。もし、それぞれのカードが数値化できるとしたら、二枚のカードを比較して「このカード強すぎない?」「このカード弱すぎ!」というカード評価に役立てたり、カードバリューの低いカードを高いカードと入れ替えてデッキを強化したり、試合中により高い数値でカードを使うことを意識してプレイすることで最善の一手を見つけることができたりその可能性は無限大に広がっています。

総合価値(Total Value)

ゲームの開発者がカード設計の段階で、それぞれのカード間でのバランスとゲーム内のインフレ避けるために、ある指標・デザインルールに沿ってカードを作っていることは簡単に想像できます。しかし、プレイヤーにとってはデザインルールはブラックボックスで公式に公開はされていません。

そこで我々は既存のカードから、ある仮説にとって逆算でこのルールを導き出していくことになります。総合価値は1枚のカードにそれぞれ8点の価値があると仮定して、そこからデザイナーが各テキスト効果にどれくらいの点数価値を見出しているのか?を導き出し、実際のプレイにその点数分以上または以下の効果があるかをプレイヤーが判断することで各カードの評価に役立てることができます。

表現価値 (Express Value)

デザイナー観点から見た総合価値(TV)に対して、表現価値(EV)は完全にプレイヤー観点から見たカード点数です。表現価値は実際に試合中に使用したカードの用途によって変わる数値で、実践に使えるカードバリューです。

⚠︎総合価値も表現価値もどちらも造語です。前者はArsenal Passから、後者はYoutubeチャンネルVazerum Presentsで使われた造語を日本語化しました。

前回に引き続き、今回はノンアタックカード総合価値について考察します。アタックアクションカードで学んだルールオブ8はノンアタックカードでも有効と仮定して今回の記事を進めていきます。

内容

Non-Attack Action

このターンあなたがプレイする次の攻撃アクションカードは+3[attack]を得る。

Go Again

ノンアタックアクションのバニラカード(余計な効果がついてない)にあたります。Go Againは2点。無条件で次のカードに+3攻撃なので、攻撃力3と同意とします。

ピッチ: +1
攻撃:+3
防御: +3
コスト: -1
Go again: +2

合計は8点となります。

このターン中、コスト2以上のあなたがプレイする次のアタックアクションカードは+6のアタックを得る。

Go Again

Sloggismは、条件が加わったもののCome to Fightに比べて+3攻撃が増えています。その分、コストが2あがり、防御が1下がりました。

コスト1以下のあなたが次にプレイするアタックアクションカードは+3のアタックを得る。

NimblismはCome とFightよりも1コスト減った分、防御が1減って攻撃力追加は変わりませんが条件付きになっています。

このターンあなたが次にプレイするBrute攻撃アクションカードは+3[attack]を得る。

Intimidate

Go Again

Awakening Bellowはクラスカードです。VazerumのYoutubeサイトでFaBのカード公式を完全解読したと豪語するゲスト二人によればクラスカードは-1と定義していました(参照)。しかし、アタックアクションではこの法則が成り立たない例を書きましたが、今回も同様に上のカードをみると-1補正はないと思われます。Intimidateは前回0点の価値と判断しました。

ピッチ: +1
攻撃:+3
防御: +3
コスト: -1
Go Again: +2
Intimidate: 0

合計: 8点

ライフ回復の価値を見てみましょう。

ピッチ: +1
攻撃:0
防御: +2
コスト: 0
ライフゲイン: +3
ライフゲイン課税: +2

合計: 8点

というわけで、ライフゲインには特別な課税があることがわかります。

Healing Balmと似ているエレメンタルタレントカードです。コスト1加わった分、条件付きインスタント速度で使用可能になります。これは1点分の価値として相応すると思えるのでそれ以外の価値の仮定が証明されていると言えます。

Attack Reaction

FaBにおけるカウンター専用カード、リアクションカードはどうでしょうか?後出しのカウンター専用カードなのでそれ自体に他のノンアタックアクションカードと比べると価値があるはずと思われます。実際に計算してみると、アタックリアクションカードには+2点分の価値があるようです。

対象のアタックアクションカードは1点の攻撃を得る。

アタックリアクションとしてはバニラカードにあたるのがLunging Pressです。効果はそのまま+1攻撃で1点と換算してみると。

ピッチ: +3
攻撃:+1
防御: +2
コスト: 0
Reaction: +2

合計: 8点

一つを選ぶ。

  • 対象の剣またはダガー武器は+3の攻撃をえる。
  • 対象のコスト1以下のアタックアクションカードは+3のアタックと「これが当たれば、Go Againを得る。」を得る。

Razor Reflexをアタックアクションカードに使用した場合は、Warrior`s Valorに似た効果を発揮します。ただし、クラスカードはないので-1点がなくなります。さらに防御も1点少なくなっています。

ピッチ: +1
攻撃:+3
防御: +2
コスト: -1
アタックアクションカードに付加される条件付きGo Again: +1
Reaction: +2

合計: 8点

Razor Reflexと双対をなすPummelでも確認。

一つを選ぶ。

  • 対象の棍棒または槌武器は+4の攻撃をえる。
  • 対象のコスト2以上のアタックアクションカードは+4のアタックと「これが当たれば、防衛側のヒーローはカードを一枚捨てるを得る。」を得る。

オンヒット効果は1点と考えると、

ピッチ: +1
攻撃:+4
防御: +2
コスト: -2
条件付きカード捨て: +1
Reaction: +2

合計: 8点

対象の武器攻撃は+4の攻撃を得る。

Reprise-もし防衛側のヒーローが手札からこのチェーンリンク中に手札のカードを使って防御したなら対象の攻撃は+2を得る。

Reprise効果は条件付き+2なので、1点とします。

ピッチ: +1
攻撃:+4
防御: +3
コスト: -3
Reaction: +2
Reprise: +1

合計: 8点

Defense Reaction

デフェンスリアクションは試行錯誤した結果、+3点分の価値があるように思われます。まずは例を見てみます。

もし、Unmovableがアーセナルからプレイされたならこれは+1のディフェンスを得る。

条件付きのテキストで、これ自体には価値がないと仮定します。

ピッチ: +1
攻撃:0
防御: +7
コスト: -3
Reaction: +3

合計: 8点

あなたは、手札から1枚カードをデッキの下に戻しても良い。そうしたならば、カードを一枚引く。

カード交換は役に立ちますが、手札の枚数としては変わらないのでこれも0点の価値と仮定。

ピッチ: +1
攻撃:0
防御: +4
コスト: 0
カード交換効果: 0
Reaction: +3

合計: 8点

これが2以下の攻撃をブロックしている間、コンバットチェーンが閉じたならばカードを1枚引く。

条件付きドローの効果も0と仮定。

ピッチ: +2
攻撃:0
防御: +3
コスト: 0
条件付きドロー: +1
Reaction: +2

合計: 8点

実は上の例でどれも条件テキスト1点、デフェンスリアクションを2点としても8点の合計になります。

しかし、下の例で問題が出ます。

上の2枚を比べるとインスタントとリアクションの差とSink Belowには手札交換の効果がありますが、インスタントは(下で説明)、2点の価値とわかる具体的なカードがあるので、これを元にするとReinforce the Lineが7点にしか達さなくなってしまいます。

そこで、デフェンスはオフェンスよりも貴重と仮定して+1点の課税をつけるとReinforce the Lineが8点。そして、Sink Belowも同様に8点にできます。

この仮定が正しいかは正直デザイナーしかわらないと思いますが、FABの基本的な構造を見ると平均的に1枚カードの攻撃力が4点なのに対して防御力は3点と非対称になっています。この、理由はおそらくゲームは進行するべきとデザインされていて防御と攻撃が平均的に同じだと、基本全てブロックし続ければ引き分けになる計算になってしまうので、あえてデザイナーは防御に課税をしていると仮定しました。

Instant

相手のターン中でも好きな時に使用できるインスタント効果は非常に貴重です。VazereumのYoutubeチャンネルゲストはインスタントには3点分の価値があると判断しました。理由の一つとして、Kanoのヒーローアビリティが3リソースかかることをあげていました。しかし、個人的には2点と判断します。理由は以下の2枚です。

上の2枚を比べてみます。左はアクションカードで右はインスタントカードです。二つの差はアクションカードの方には2点のブロックがあることです。よって、インスタント版と2点分の差となります。

Aura

FABでターンをまたいで場に出続けるカードは限定されています。下のカードをみるとオーラには1点の価値があるように思われます。

Go Again

あなたのアクションフェーズ開始時に、Emerging Powerを破壊し、あなたがこのターン中にプレイする次のガーディアンアタックアクションカードは+3攻撃を得る。

ピッチ: +1
攻撃:+3
防御: +3
コスト: -2
Go Again: +2
Aura: +1

合計: 8点

あなたのアクションフェーズの開始時に、タワーリングタイタンを破壊し、このターンをプレイする次のガーディアン攻撃アクションカードは+10[attack]を獲得します。

Towering TitanはEmerging Powerと比較して+7の攻撃力を持っています。しかし、コストだけで7点の差があり、Emerging PowerにあったGo Again(2点分の価値)がないので、8点ルールに2点足りない計算になります。

プレイヤーの観点から見ると、Emerging Powerの与える+3は大抵の場合は1枚のカードでブロックできますが、Towering Titanの+10は完全にブロックするには4枚必要になります。コンボターンの可能性としてはTowering TitanはEmerging Powerの比ではありません。このあたりが、2点分足りないところに反映されているのではないかとこじつけます。

Item

アイテムもオーラと同様に1点分の価値があると仮定します。

Instant – Enegy Potionを破壊する。:2点のリソースを得る。

オーラと同様にターンをまたいで使える効果を秘めているアイテムです。Instantに2点。リソース各1点としてみます。

ピッチ: +3
攻撃:0
防御: 0
コスト: 0
リソースゲイン: +2
Instant: +2
Item: +1

合計: 8点

Action – Potion of Strengthを破壊する。:このターン中あなたの次の攻撃は+2[attack]を得る。 Go Again

ピッチ: +3
攻撃:+2
防御: 0
コスト: 0
Go Again: +2
Item: +1

合計: 8点

Action – Timesnap Potionを破壊する。:2点のAction Pointを得る。

Go againはAction Pointを1点得るのと同意なので、この場合はテキストの効果は4点分になります。

ピッチ: +3
攻撃:0
防御: 0
コスト: 0
2 Action Points: +4
Item: +1

合計: 8点

Arcane

物理攻撃と比べるとアーケイン攻撃は対処しにくい点もあり、1点分のアーケン攻撃税がかかっているようです。

3点のアーケインダメージを対象のヒーローに与える。

バニラアーケンカードです。

ピッチ: +1
攻撃:+3
防御: +3
コスト: 0
アーケン: +1

合計: 8点

5点のアーケインダメージを対象のヒーローに与える。

ボルティックボルトを見ても同様に、2点のダメージが増えた分コストも2点上がっています。

ルーンチャント

トークン創造にはいろいろありますが、代表的なのはルーンブレードのルーンチャントです。ルーンチャントにもしっかりとデザイナー観点からみた価値があります。

あなたがアタックアクションカードまたは武器により攻撃を行った場合、ルーンチャントを破壊して対象の相手ヒーローに1点のアーケインダメージを与える。

上のルーンチャントトークン創造バニラカード二枚をみてみると、1+4+3-1=7点と1+4+3-2=6点。それぞれ8点ルールで考えると、ルーンチャントトークン一枚に対して1点の価値があることがわかります。

まとめ表

デザインバリュー値
Attack Reaction2
Defense Reaction3
Instant2
Aura0
Item0
Arcane damage1
ライフ回復2

応用編

問答無用の強インスタントカードArt of Warを見てみます。

2つ選択します。

  • あなたのコントロールするアタックアクションカードは、このターンで+1攻撃と+1防御を獲得します。
  • このターンでプレイする次の攻撃アクションカードは、Go Againを得ます。
  • ターンの終わりまで、あなたはアーセナルのアタックアクションカードで防御することができます。
  • アタックアクションカードを1枚手札から追放する。もしそうしたならば、2枚のカードを引く。

カード交換は0点でも、追放1枚で2枚引けるので総合的にカード1枚引く効果になります。手札を1枚ランダムで捨てるのが-2だったので、無条件ドローは一枚2点と仮定します。もう一つのよく選ばれるモードは攻撃・防御強化なのでこの2つのモードを選ん場合を見てみます。

ピッチ: +2
攻撃/防御:+1X
ドロー: +2
コスト: -1
Instant: +2

合計: 5 + 1Xの価値があることになります。

1Xはそのターンにプレイするアタックアクションカードの枚数で変化します。この式だけ見ると、3枚以上プレイすれば8点分以上の価値が生まれることになります。

実際AoWは、忍者クラスなどの1ターンに複数のカードを使ってワイドに攻撃するデッキのキーコンボカードとして使われますが、それ以外のデッキでは使用されていません。

例外

ここまで考察しておきながらですが、前回と同様に、今回も例外は存在します。

Primeval Bellowをプレイする追加コストとして、ランダムでカードを1枚捨てる。

次のブルートアタックは+5のアタックを得る。

Go Again

アタックアクションカードでは、ランダムで自分のカードを捨てることは-2点の補正でした。Go Again+2点。+5のアタックをそのまま5点とすると合計9点になってしまいます。

もう一枚、別のクラスであるウォーリアーアクションカードを見てみます。

このターン中、あなたがプレイする次の武器アタックアは+3のアタックと「これが当たれば、Go Againを得る。」を得る。

Go Again

条件付きGo againは1点の価値です。

ピッチ: +1
攻撃:+3
防御: +3
コスト: -1
Go Again: +2
武器カードに付加される条件付きGo Again: +1

合計9点になりました。

この2枚に例はクラスカードを-1点とすれば、合計8点とできますが、その場合Awakening Bellowのつじつまが合わなくなってしまいます。

個人的な見解は、やはり我々が考えるほど単純ではなくデザイナーは、それぞれのクラスの特徴や他にカードと照らし合わせて微調整がなされていると思います。

感想

総合価値(TV)のルールオブ8はアタックアクションカードに限らず他のカードタイプにも使えることがわかりました。しかし、どのような仮説を立ててもルールオブ8の例外は存在すると思われます。個人の解釈としては、これはデザイナーがルールオブ8を基準にしていても、それが絶対的な規定のではないという証明と思っています。つまり、必要ならFABのカードデザインはルールオブ8から外れたものもありえるということですね。

総合価値はデザイナー観点から見たカードの数値化で、デザイナーの意図を想像する楽しみの他に、カード評価やデッキ構築に役に立ちます。まずは、ルールオブ8でデザイナーが一体テキスト効果にどのくらいの価値があると判断したのかを導き出し、その数値以上の効果を発揮する可能性があるなら、そのカード強カードとして考えることができます。

しかし、総合価値の短所はカード全体を一つの数値として見ているため、実践的なカードバリューではないため次回で説明する表現価値の方がプレイヤー・カードバリューと言えます。

参考

  1. Card Formula Revealed! Is Flesh and Blood TCG Broken? – Youtube Vazerum Presents